全日本実業団対抗女子駅伝は25日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。

名門ワコールは大ベテランの福士加代子(36)が復活し、予選会のプリンセス駅伝をトップ通過。優勝争いに加わる力を付けている。

プリンセス駅伝アンカーで区間記録を更新した福士は「奇跡ですよ、これは(笑)。風が追い風だったのかな」と、いつもの福士節で自身の走りを振り返った。

04年アテネ、08年北京、12年ロンドンはトラックで、16年リオはマラソンでオリンピック(五輪)に出場したレジェンド的な選手。リオの後は調子が上がらなかったが、「(きっかけに)なるなる。何でもきっかけにしちゃう」と、クイーンズ駅伝(全日本実業団対抗女子駅伝)とその後のマラソン復帰へ弾みがついた様子だ。

福士にトップでタスキを渡した後輩たちの頑張りがプラス材料だ。プリンセス駅伝3区の一山麻緒(21)は、福士の跡を継いでワコールのエースに成長した選手。区間賞の走りでチームを12位から2位に引き上げた。

残りの4人はルーキーで、区間4位以内は1人もいなかったが全員が役割を果たした。5区の坪倉琴美(22)がトップに立ち、福士のビクトリーロードを演出した。

クイーンズ駅伝では確実に上位の流れに乗るために、一山と福士を1区と3区へ起用する可能性が高い。だが1区に長谷川詩乃(19)を起用できるようになればワコールは勝負に出られる。

長谷川はプリンセス駅伝では1区で区間15位と失敗したが、今季は5000メートルで自己記録を大きく更新している。本番に長谷川を1区で起用し、トップから10~20秒差でしのぐことができれば、3区の一山で優勝争いに加わることができる。そうなれば気持ちが乗った福士が5区で、予想以上の快走をする準備が整うはずだ。

ワコールは80~90年代に多くの日本代表、日本記録保持者を育て、駅伝でも5回の優勝を飾った名門チーム。当時エースだったのが真木和さん(1万メートル元日本記録保持者。アトランタ五輪マラソン代表)だが、先月49歳の若さで早世した。天国の真木さんに、後輩たちが頑張りを見せる。