男子マラソンの川内優輝(32=埼玉県庁)が「川内節」をさく裂させた。

9日、滋賀・大津市内のホテルで、10日号砲のびわ湖毎日マラソンの招待選手会見に出席した。寒さで日本記録保持者大迫傑らが途中棄権した3日の東京マラソンについて、口を開いた。

悪条件が大好きな川内は「『走りたいな』と思いましたね」とにやり。昨年1月に米ボストン近郊で気温氷点下17度の極寒の中、2時間18分5秒で完走。体をタイツで包んで、目出し帽姿で激走した経験がある。「雨はむしろ好きなので。苦手とか大丈夫とかではなく、むしろうれしい。ワクワクする。気持ちが高まる。雨のおかげで楽しい心境で迎えられる」と話した。

4月からプロ転向する川内は、途中棄権した大迫の感想を聞かれて「難しいですよね」と考え込んだ。その上で1月の大坂国際女子で転倒して出血しながら、指導者に止められるまで走った福士加代子を引き合いに出し、持論を展開した。

「プロは2種類あると思います。大迫選手のようにスパッとやめるのはよくあるプロ。福士さんみたいに走るのもプロ。私が同じような状況になったら、意識が続く限り、はってでもゴールにいった」と口にした。

選手層が厚くなってきた男子マラソンの現状についても、闘志を燃やした。昨夏のジャカルタ・アジア大会金メダルの井上大仁について「私は格下ですから。目指すべき若手が出てきたことはすばらしい。でも夏を越えたら『みとけよ』という気持ちもある」。その上で「年寄りはもういいみたいな感じがあるけど、案外ベテランも強いよ、という雰囲気にしたい。私もスピードが戻ってないですが、(プロ転向で)環境的に整えば、という気持ちがある。『日本記録更新は誰と誰しかできない』とか『4強(大迫、設楽、井上、服部)』という言葉に、挑発されている気持ちです」と目をぎらつかせた。

20年東京五輪切符をかけた9月15日の「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」出場権はワイルドカードでの出場を手にしている。ただ川内は出場を保留しており、同じく今秋に行われる世界選手権ドーハ大会代表入りを優先している。長く親しまれた「公務員ランナー」としてフルマラソンに出場するのは今大会がラスト。「いよいよプロだなという気持ち」と武者震いしていた。