日本人最高は2位の藤本拓(30=トヨタ自動車)で、タイムは2時間9分36秒だった。ハイペースで先導するペースメーカーの流れに乗り、前半から突っ込むも、30キロすぎから力尽きた。

今大会は20年東京オリンピック(五輪)男子代表選考の対象。最後の1枠の代表入りの条件となる、日本記録を1秒上回る2時間5分49秒以内は遠かった。優勝は2時間7分10秒のエルマハジューブ・ダザ(28=モロッコ)。

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そう簡単に日本記録が出るはずはなかった。30キロすぎ。飛ばしていた藤本は足が一気に重くなった。一騎打ちを繰り広げていたダザの背中は遠のいていく。30キロは日本記録更新も視野に捉える1時間29分33秒で通過したが、30キロからの35キロまでは15分39秒、35キロから40キロは16分35秒とペースは急落。2時間7分57秒の自己ベストの更新もならなかった。だが、出せる力は尽くした。「悔しい思いは正直あるが、いいチャレンジをさせていただいた」。やり切った表情だった。

手応えも残った。気温は15キロ地点では21度と高く、他選手との接触もあった。その中で日本人で唯一、ペースメーカーにも引っ張られながら、30キロまで粘った。今後、日本記録は「練習を積み、コンディション、ライバルなどの条件がはまれば、不可能ではないと思う」。過去3度のマラソンとは違う“無謀”なペースで突っ込むレースだったが、今後に生きる経験値、自信を手にした。

来年3月の東京、びわ湖毎日と五輪代表の道は残るが、佐藤監督は出場に否定的な考えだ。故障のリスク、将来も考慮し「東京、びわ湖はちょっときついかな。ストップさせるのも仕事」と語った。【上田悠太】

◆東京五輪男子マラソン代表への道 MGCで優勝した中村、2位の服部は代表決定。残りは1人。福岡国際のほか、東京、びわ湖毎日の3大会で、日本新記録となる2時間5分49秒以内が条件。その中の最速選手が最後の1人に。該当者がいない場合は、MGC3位だった大迫が代表となる。