未来の箱根ランナーに五輪代表の力を見せつけた。20年東京オリンピック(五輪)の男子マラソン代表中村匠吾(27=富士通)が大会新記録となる1時間1分40秒で優勝。残り2キロでスパートをかけ、ハーフマラソンの自己記録を13秒更新した。

主力は不在とはいえ青学大と東海大の選手が多く出場した中、力の差を証明。楽に走りながら、学生最速だった3位の中倉啓敦(青学大1年)とは46秒の差をつけた。「やはりオリンピックの代表に内定している立場としては、勝つことが大事だと思っていた。トップでゴールできた。2020年1発目のレースで順調に走れた」。五輪イヤー初戦は納得の結果で順調な滑り出しとなった。

年越しは「寝てました」。1月1日も1万メートルのポイント練習を普段通りに消化した。「大事な年なので」と言う。周囲からの期待も高まっている。この日も移動するたび、ファンの人垣ができた。表彰式前には即席のサイン会が行われた。並ぶファン列はいっこうに途切れる気配なく、長くなるばかり。最後はみんなで集合写真を撮る形で対応するしかなかった。中村は「やはりマラソンは注目度が高い。期待をして応援をしてもらえるのはうれしい事」。そうモチベーションにしていた。

今後は徳之島、米アルバカーキで合宿を積み、3月には世界ハーフマラソン選手権(ポーランド)に出場する。世界レベルのスピードを五輪前に体に染み込ませる。指導する駒大の大八木弘明監督は「(五輪のコースが)北海道になったので、アフリカ勢が速い展開になる。スピードを重視しながら練習をやっていこうと思う」。世界ハーフマラソン選手権では「60分台を出さないとなかなか世界では通用しない。そのぐらいまで行きたい」。世界的にも高速化が進む中、成長の未来像を描いた。