年末年始は高校スポーツの全国大会が花盛り。コロナ禍を乗り越えて全国大会出場を決めた新潟県内各競技の代表校、話題選手を不定期で紹介する。第1回は全国高校駅伝(20日京都=男子7区間42・195キロ)に2年連続16回目の出場を決めた男子の中越。昨年の“都大路”を走ったメンバーが5人残る。経験豊富な布陣を、昨年未経験の鈴木孔士(2年)がエース格の1人になってチームを引っ張る。

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本番のレースを最も待ち焦がれているのが2年生の鈴木だ。昨年は登録10人に入りながら、出場メンバー7人から漏れた。その時に味わった悔しさを忘れずに練習してきた。11月23日の県記録会5000メートルでは自己新の14分46秒39をマーク。15分6秒台の従来の自己記録を約20秒縮め、チームで2番目の持ちタイムになった。「自分は初出場だから挑戦したい。エースとして粘りっ気のある走りをしたい」。誰よりもモチベーションは高かった。

コロナ禍で春は2度の休校を余儀なくされた。新潟市秋葉区の実家に戻った鈴木は自主トレを止めなかった。3月は渡辺裕人監督(37)に手渡されたメニューに沿ったトレーニング。4月は独自にメニューを作った。日曜日は起伏のある山道コースを20キロ。平日も約16キロ走った。6月過ぎに部活は本格的に再開。夏休みには3週間ぶっ続けで長距離を走り込んだ。1回に14~16キロのランニングを1日に2、3回繰り返した。渡辺監督は「誰よりも指導されたことを実直にやる。チームで一番、伸びている」と鈴木を評す。

鈴木にはスピードがなかった。新津二中では陸上部員男女89人の中で短距離走が一番遅かった。そんな欠点を長距離の中盤の粘りで補っていた。今季チームは駅伝の高速化に対応するため、短距離のスプリント力を養成してきた。そんなトレーニングもあり、従来の粘りにスピードが付け加えられた。「チームの目標は20位以内。個人としても区間順位20位以内で走りたい」。出場58校中51位だった昨年からの大幅ジャンプアップへ鈴木は胸を高鳴らせていた。【涌井幹雄】

◆鈴木孔士(すずき・こうじ)2003年(平15)12月12日生まれ、新潟市出身。陸上を本格的に始めたのは新津二中から。当時の専門は3000メートル。小学時代は野球、柔道に取り組んでいた。172センチ、57キロ。血液型AB。