少し伸びた髪を肩に掛け、新天地への決意を言葉に込めた。「走り幅跳びだけではなくていろいろな種目で強い選手がいる。その中で練習すれば良い刺激を受けて、これ以上の高いところを目指して頑張っていける」。3年間身に付けた立命館慶祥の「赤」のユニホームから「緑」の青学大へ。1918年創部の伝統校で自らを高めていく。

コロナ禍に見舞われた昨季。目標としていた総体がなくなり一時はモチベーションも上がらなかった。走り幅跳びの目標は6メートル超えだったが「自己ベストすら更新できなくてつらかった」。1年時の5メートル83センチから記録が伸びず苦しむ中で、10月に総体の代替大会、全国高校陸上2020の開催が決まり「日裏(徹也)監督に恩返ししたい」。

高校最後の大会。1年は優勝した400メートルリレーを優先して棄権。2年は決勝にすら届かなかった“総体”で追い風1・0メートルの風に乗り、6メートル11の大ジャンプで2位に入った。「実感がなかった。うれしかったけど、驚きでした」。自己記録更新どころか、同校の先輩吉田梨緒(早大2年)が持つ従来の北海道高校記録を1センチ更新しての表彰台だった。

「負けたくないです」。2日の卒業式。傍らで取材を受けていた同学年で女子短距離のホープ石堂陽奈(18)が環太平洋大進学後に走り幅跳びに再挑戦することを聞き、対抗心を燃やす。その石堂が在学中に2度出た日本選手権が次なる大きな目標。「(申し込み資格の)記録は突破している。出るだけではなくて、上を目指したい」。新たな目標へ、テークオフ!【浅水友輝】

◆松田奈夏(まつだ・なな)2002年(平14)8月16日、深川市生まれ。深川一已小2年で競技を始める。立命館慶祥では1年の総体400メートルリレーで4走を務め、同校初の全国制覇に貢献。走り幅跳びでは2年のU18日本選手権2位、3年の全国高校陸上2020で2位。100メートルの自己記録は12秒32。162センチ。