第98回東京箱根間往復大学駅伝(1月2、3日=東京・読売新聞社前~箱根・芦ノ湖、10区間217・1キロ)開幕まで、あと5日となった。開幕まで今日から5回、カウントダウン企画として箱根路を彩った記憶に残るランナーを紹介します。1回目は、1998年(平元)にケニア人留学生として初めて大会を走った山梨学院大のジョセフ・オツオリです。

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◆1989年1月2日、2区(鶴見~戸塚間23・0キロ)

箱根路に初めてのケニア人ランナーが現れた。山梨学院大の1年生ジョセフ・オツオリは、各校のエースがそろう「花の2区」で7人抜きの快走を披露した。8位でタスキを受けると、次々と前を行く選手を追い抜き、トップで3区へタスキを渡した。1時間8分23秒のタイムで区間賞を獲得した。

ケニア人選手の「ごぼう抜き」は箱根駅伝恒例のシーンとなっているが、オツオリがその第1号だった。以来、30年を超える現在まで、留学生ランナーの姿が途切れることはない。オツオリは4年連続で2区を走り、区間賞3度。当時は留学生ランナーが走ることへの批判の声は多かったが、オツオリの存在がチーム全体のレベルアップにつながり、オツオリが最上級生となった92年大会では、もう1人のケニア人留学生イセナ(3区)の活躍もあり、山梨学院大は初優勝を果たした。

そのオツオリは2006年(平18)8月、一時帰国中だったケニアで交通事故死した。亡き英雄をしのび、大学の構内にはモニュメントが設置されている。