箱根駅伝で2年ぶり6度目の総合優勝を決めた青学大の原晋監督(54)は、1年生ながら山登りの5区を任され、区間3位と好走した“若の神”こと若林宏樹の起用を「心中するから」と覚悟を持って決めていた。

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チーフマネジャーにあたる野川寛太主務(4年)によると、若林は結果を残していた上、山登りの適性があった。若林に何度も山登りの練習を行わせて走りをじっくり見た結果、監督は「彼を使うしかない」と起用を決めたという。野川さんは「監督は選手を選ぶ上で学年を気にしない。練習消化率、能力、直前の状態、コースとの相性を基準に決めている」と説明。さらに「1つの賭けだと思いました。実力はあっても本番走れない選手もいますから」と明かした。

若林と同じ1年で、東京国際大の丹所健(3年)に次ぐ区間2位と健闘した3区太田蒼生(あおい)も、監督が示す“4つの基準”で抜てきされた。「夏合宿の消化率といかに継続した練習ができたかということがポイント。この1年、レースで外さなかったことなど、評価が高かった選手。直前の状態もすごく良かった」(野川さん)。さらに「以前から『箱根を走りたい』と公言していた通り、前々から箱根で100%の力を発揮できるよう、箱根を意識した準備をちゃんとしていた」と意識の高さも評価されたようだ。監督は丹所に追い付かれながらも並走し、終盤で突き放した走りに「太田君はすごいな」と感心していたという。

監督はケガや発熱のアクシデントで、ギリギリまで出場を見極めていた7区岸本大紀(3年)と8区佐藤一世(2年)を当日のメンバー変更で投入。本来、2人は往路に投入予定だったと明かした。野川さんは「監督は往路で前を狙う位置につけ、復路で逆転を狙おうとしていたと思う」と明かした。監督は首位を一度も奪われなかった復路を「安心して見ていられた」と話していたという。

野川さん自身は3区の太田が丹所に食らい付き、突き放す走りを見て「あ、勝ったな」と思ったという。「青学大には勝てないと言われる次のチーム作りが始まります」。優勝の余韻に浸る時間もなく、2日後から練習を再開させる。【近藤由美子】

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