陸上男子100メートルで元日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)が東洋大時代から師事する土江寛裕氏(47)は、愛弟子の心中をおもんぱかった。17日、電話取材に応じ「トップでずっと張り詰めながら走ってきた。(24年)パリ五輪に向かっていくには、ここでしかじっくり休めない。いい充電期間になれば」と話した。

桐生はこの日、自身のSNSで「陸上やりたいと思うまで少しお休みします。今シーズンは試合には出場しません」と今季の休養を表明した。世界選手権(7月、米オレゴン州)の代表選考会を兼ねた10日の日本選手権100メートル決勝では、10秒27(追い風1・1メートル)で6位。レース後には「プロなのでどんどん試合に出ないといけないが、ちょっと考えたい」と今後のスケジュールについて熟考する意思を示していた。

京都・洛南高時代から日本選手権に出場し、国内のトップを走り続けて約10年。土江氏は「陸上選手はどうしてもオリンピック周期で考える。パリ五輪は年齢を考えると桐生は28、29歳になる年。自分がいい状態で迎える最後のオリンピックになるかもしれないと、本人も納得した」と説明した。

17日時点で、100メートルのワールドランキングでは世界選手権のターゲットナンバー内に位置する桐生。400メートルリレーの代表候補となるが、土江氏は「選ばれることになっても辞退することになります」とした。

東京五輪代表の桐生は今季、4月の出雲陸上で右太ももに違和感を覚え、同月の織田記念、5月のセイコー・ゴールデングランプリ(GGP)を欠場した。

今後に向けて桐生は自身のツイッターで「練習もまたどこかのタイミングでやり始めます。いつも応援してくださる皆様、強くなって戻ってきます。待っていてください」と続けた。