1区で関東学生連合の育英大・新田颯(4年)が、大逃げを打って盛り上げた。序盤から勢いよく飛び出してトップを独走。最後は失速したものの、見せ場たっぷりの3位でたすきをつないだ。新設大学の無名ランナーが見せたスペクタクルな激走。快速馬「パンサラッサ」に重ねる人が相次ぐなど、ツイッターには関連ワードが続々とトレンド入りした。

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見慣れない黄色のユニホームが約1キロ地点から抜け出す。集団の先頭に立つと、大逃げを打った。

3年ぶりに沿道応援が解禁されたファンの目を独り占めにしたのは、オープン参加となる関東学生連合の主将、育英大の新田だ。陸上競技は大学で最後と決めている4年生にとって、このレースが最初で最後の晴れ舞台。快調に飛ばしまくって、有力校の選手たちを慌てふためかせた。

惜しくも終盤失速し、残り約1・5キロ地点で追い抜かれたが、1位と15秒差の3番手でたすきリレー。「悔いのない走りができて良かった」と笑顔がはじけた。

新田の快走にツイッターでは関連ワードが続々とトレンド入り。オープン参加のため公式記録は残らないとあり、「幻の区間賞」との投稿が相次いだ。昨秋に競馬の天皇賞で大逃げを打って2着に粘ったパンサラッサをほうふつさせたとの声も多数あった。

育英大にも注目が集まり、公式サイトへのアクセスが集中して一時的に接続できなくなる事態にも。新設大学の2期生は「育英大を、ここでしっかり宣伝してやろうという気持ちはありました」。

中学時代はハンドボールに夢中になった。体力づくりの一環として長距離走を始めたことが、ランナーになったきっかけ。競技人生のフィナーレを、箱根の大舞台で華々しく締めくくった。卒業後は「群馬トヨタで営業をしながら、休みの日は育英大のサポートをしたい」。夢の続きは、後輩たちに託す。【奥岡幹浩、山田愛斗】

◆育英大 学校法人群馬育英学園が高崎市に18年創設。教育学部教育学科のみの単科大学で、児童教育専攻とスポーツ教育専攻の2つがある。それぞれ定員は50人。現4年生は2期生にあたる。陸上部、レスリング部、女子バレー部は指定強化クラブとなっている。系列の前橋育英高はサッカーの強豪校で、開催中の第101回全国高校選手権大会に出場。

◆関東学生連合 10月の箱根予選会で敗退した大学のうち、外国籍選手を除く個人成績上位16人(ただし1校1人)で箱根駅伝に出場経験のない選手から選考。02年度の大会(03年1月)から編成されている(※03年度、13年度は未編成)。04~12年度は本戦出場チームとして記録、順位が認定されたが、それ以外はオープン参加のため個人、チームともに参考記録扱い。過去最高は07年度の4位。呼称は「関東学連選抜チーム」から、14年度に「関東学生連合チーム」に変更。

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