総合連覇を狙う青山学院大(青学大)は、1位の駒澤大(駒大)と2分3秒差の往路3位となった。
当日のエントリー変更で5区(20・8キロ)を任された脇田幸太朗(4年)は、大学4年での箱根デビュー。レースを終えると、人目をはばからずに涙を流した。底冷えする寒さの中、芦ノ湖にほど近いスペースで、頭から毛布をかぶった。
「2分差なら何とかなる」「大丈夫、大丈夫」
チームメートの明るい声には、静かにうなずいた。
前日の1月1日朝。原晋監督から告げられた。「もしかしたら若林は行けないかもしれないから、準備をしておくように」。
体調不良の若林宏樹(2年)の代役。当初は6区を走る予定だったが、前回5区3位の2年生に万が一のことがあった時のために、山登りの練習にも取り組んでいた。
「いけるようにはしていたんですけど…」
駒大とほぼ同時にタスキを渡された。だが、厳しい冷え込みからか、体が思うように動かない。落ち着いてレースに臨めてはいたものの、ペースが上がりきらなかった。
「準備はできていたんですけど、体が動かなかったです」
沈むような声で、敗戦の責を背負いこんだ。
ただ、箱根山の頂でかけられたチームメートの言葉には、救われる思いもあった。
「少し安心した思いと、申し訳ない思いでいっぱいです」
ゆっくりと立ち上がり、前を向いた。
後輩の急なアクシデントをカバーし、区間9位で踏ん張った。
復路を控える仲間たちは、脇田の奮闘に走りで応える。【藤塚大輔】