新潟県高校総体は20日の女子サッカーで開幕する。25日開幕の陸上競技(28日まで=新潟市陸上競技場)では、昨年の走り高跳びの全国中学校体育大会(全中)チャンピオン、東龍臣(新潟・日本文理1年)が初の県高校総体大会に挑む。青森・常盤野中出身で全校生徒9人の小規模校から誕生した全中覇者。全校生徒805人の日本文理に飛び込み、新天地で飛躍を誓う。

 

メガネの奥の両目は遠く上を見つめていた。高校入学当初、1年時の目標設定を大台の2メートルとしたが、入学直後に一発クリア。4月15日の春季新発田記録会、1回目の跳躍で達成してしまった。全中優勝時の記録1メートル94が自己ベストタイだけに期待は一気に高まる。ところが本人はどこ吹く風。県総体6位までが進出する北信越大会で上位6人に入ればインターハイに出場できるが、「高校の3年間で2メートル20を跳びたい。そのために今は体を作る。インターハイへ行けたら、それはオマケです」。

青森・常盤野中は全校生徒9人。小中あわせ24人が同じ校舎に学ぶ小規模校だった。体育館にバーとマットを敷いて練習。恵まれていない環境から新天地に飛び込んだ。日本文理には21年全中走り高跳び優勝の関崎至流(2年)が在学する。「ライバルの先輩ができた。いい刺激」と東は好ライバルを得て跳躍を磨く。

4月の記録会後に東は踏み切り足の左足首に炎症を起こした。ケアした接骨医は発達した足底筋に接し「見たことがない」と驚いたという。跳躍の特長はその足底筋を生かす強い踏み切り。ほかの筋肉は未開発だけに全身の筋力強化を図れば可能性は大きく広がる。

昨年12月の体験入学時にはピラティス、コアパワーヨガを行った。帰郷後、走り高跳びが専門の日本文理・権瓶寿満監督(56)に「動画を送ってほしい」と連絡し、映像を参考に実家でトレーニングを開始した。「順位は二の次。記録を伸ばすことを大事にしたい」。逸材は県高校総体で自己の記録に挑む。【涌井幹雄】

 

◆東龍臣(あずま・りゅうしん)2007年(平19)6月13日生まれ、青森・弘前市出身。陸上は常盤野小1年から始め、常盤野中1から走り高跳び専門に。中学では生徒会長も務めた。179センチ、66キロ。

 

○…21年全中優勝の関崎は東の日本文理入学を大歓迎した。「野球部、サッカー部など強い運動部から『やらなければ』という刺激を日々受けている。東からもいい刺激をもらえる」。新潟・長岡西中出身で、寮では同室。「高3で高校日本一を狙う」と関崎は高校でも全国の頂点を狙う。