今回は、米NBAのオーディションに2度目の挑戦をする東京ガールズの渡辺あんずさんです。昨年受験後は、精神面を課題にあげて強化に取り組んできました。米国人から刺激を受けたという自信の持ち方について聞きました。

渡辺あんずさん@TOKYO GIRLS
渡辺あんずさん@TOKYO GIRLS

渡辺さんは、東京成徳大高のバトントワリング部に所属し、全国大会(高校の部小編成)で1位を獲得した。東洋大ではチアサークルに入部し、3年時にはXリーグのオービックシーガルズで活動した。

Xリーグ・オービックシーガルズで活動した渡辺さん(撮影・池田信)
Xリーグ・オービックシーガルズで活動した渡辺さん(撮影・池田信)

大学卒業後、ワーキングホリデーでニュージーランドに行ったことが、海外に興味を持つきっかけになった。SKYCITYダンスチームのメンバーとともに、プロラグビーリーグ(NRL)やプロバスケットボールリーグ(NBL)を応援。特に、バスケのニュージーランド・ブレイカーズが印象に残った。観客の子どもたちがポンポンを渡して一緒に踊った後にハグをしてくれた。その時に「言葉が壁だと思っていた私にとって、心が通じた喜びがありました」と振り返る。

Xリーグ・オービックシーガルズ時代の渡辺さん(撮影・池田信)
Xリーグ・オービックシーガルズ時代の渡辺さん(撮影・池田信)

帰国後はオービックシーガルズの活動を再開し、バイスキャプテンも経験。この時、NBAダンサーとして活動するOGに刺激を受けた。「身近な人が挑戦して合格する姿を見てかっこいいと思いました。でも、アメリカのチアに憧れはあるものの、小柄で細身の自分は、体形に自信が持てませんでした」。

引退後、OGメンバーから米国挑戦を後押しされた。調べてみると「全てのアメリカのチアが自分が想像していたような体形ではありませんでした。NBAニックスのショータイム(ハイヒールでダンスをしたり、ステッキを使うなど)のようなダンススタイルに魅力を感じました。また、レーカーズの伝統的なダンススタイルにもひかれました」。

昨年にニックスのオーディションに挑戦し、刺激を受けた。「アメリカ人は、何でも自信があるように見えました。出来なくても、私を見てください! というオーラがありました」。

同時に自分に足りないものも見えた。体作りとテクニックに加え、一番の課題はメンタル面だった。「踊っていたり話している時に、自信がなさそうに見える、と最近言われます」。高校のバトン時代は前向きだったという。自信のなさは「NBAで求められるジャズやヒップホップなどのダンス経験のなさが原因だったと気づきました」。苦手なダンスレッスンを積極的に行い、姿勢を良くするために柔軟も強化するようになった。また、「自信がない時は否定語を使っていた時だったとも気づきました。○○しない、などの否定語も意識して使わないようにしています」と気持ちの持ちように敏感になった。

ニュージーランドでSKYCITYダンスチームのメンバーと渡辺さん(前列左から2人目)
ニュージーランドでSKYCITYダンスチームのメンバーと渡辺さん(前列左から2人目)

さらに、表情にも意識を向けることが自信につながると感じた。「アメリカ人は自信がある“表情”で踊っていました。不安な顔は1ミリも見せなかった。表情が一定ではなく曲に合わせて表情を変化させる。伏せ目をしたり口を閉じて笑ったり、笑顔でも種類がある」。

昨年のオーディションを終えた後は、NBAスタイルを軸とした東京ガールズに所属。年末には、NBAのクリッパーズ対ウィザーズのオープニングパフォーマンスで結成された「JAPAN RIZE ALLSTAR DANCERS」のメンバーとして出演をした。この時に、試合も観戦し「試合演出やファンのボルテージなどの臨場感を感じて、この中でパフォーマンスしたいと思いました」と決意を新たにした。

今年6、7月に開催予定のニックスとレーカーズのオーディションを受験する。「去年いろんなものを得たので、それを発揮できるように準備したいです。去年はすごく緊張したけど、今年は緊張も楽しみに変えて、オーディションに挑戦して合格したいです」と決意を語った。

◆渡辺あんず 埼玉県出身。3歳から新体操、6歳からバトンを始める。現在は東京ガールズに所属。ジャズファンクが得意でアジアンフェースを生かし魅了する。155センチ。