世界水泳真っ最中!!

現在ハンガリー・ブダペストで、水泳の世界選手権(世界水泳)が開催されている。

東京オリンピック(五輪)が終わり、選手はパリ五輪に向けての通過点として、大事な大会になる。ここまで大会を見て、注目した点が2つある。

1つ目は若手選手の活躍。

男子400メートル個人メドレーでは歴史が動く瞬間を感じた。20歳のレオン・マルシャン選手(フランス)が4分4秒28という世界新記録まで0・44秒迫る好記録で優勝を飾った。東京五輪では6位入賞だったが、この1年で急成長。パリ五輪に向けて、今後が楽しみで仕方がない。

女子200メートル個人メドレーでは、アレックス・ウォルシュ選手(米国)が2分7秒13と東京五輪時よりもタイムを上げての優勝。こちらも東京五輪では、惜しくも銀メダルだったが、その悔しさを今回、思い切りぶつけたように見えた。

こうしたヤングマンたちは、負けた経験を糧に、次は自分の番だ!と心から強く思って、準備し戦いに来ていることがわかる。このチャレンジ精神があればあるほどプラスに働く。自分の力を想像できないくらい発揮する源にもなる。

2つ目はベテラン勢の健在ぶりだ。

42歳で男子50メートルバタフライで銀メダルを獲得したニコラス・サントス選手(ブラジル)。自身の知識、経験を年々開花させ、年を重ねるごとに強くなり、進化しているように感じる。

日本人では入江陵介選手。私が初めて日本代表選手になった2014年。初の遠征で右も左も分からない時、トイレから、招集所の場所まで、いろいろなことを教えてくれた。まさか私の方が先に引退するなんて思いもしなかった。16歳で日本代表入りしてから16年。世界選手権は7大会連続の出場になる。予選から上位に食い込み、準決勝、決勝と3本しっかり泳ぎ切る。心身ともにタフな戦いをこの年齢になっても確実にできているのは、先ほどのヤングマンと同じ、チャレンジ精神が常にあるからだろう。決して諦めず、挑戦を続ける。ベテランで活躍する選手たちは、ヤングマンの活躍をたたえながらも自分の進化に徹することができている。

まだまだ世界水泳の熱い戦いが続く。楽しみだ。


◆清水咲子(しみず・さきこ)1992年(平4)4月20日、栃木県生まれ。作新学院高-日体大-ミキハウス。本職は400メートル個人メドレー。14年日本選手権初優勝。16年リオデジャネイロ五輪は準決勝で日本新の4分34秒66をマーク。決勝に進出して8位入賞。17年世界選手権は5位に入った。21年4月の日本選手権をもって現役引退した。今後はトップ選手を育てる指導者を目指し、4月からは日体大大学院に進学。同時に水泳部競泳ブロック監督も務める。