全国高校駅伝が23日、京都・西京極陸上競技場で行われる。男子(7区間42・195キロ)の静岡県代表、島田は初出場だが、悲願の都大路で新しい歴史を刻むつもりだ。そのカギを握るのがエース渥美良明(3年)と田辺良磨(3年)だ。

 エース渥美と田辺は島田高に入学した時、鳥井潔監督(55)と都大路出場の約束をかわしていた。2年8カ月を経て、約束の大舞台に立つ。渥美は各校のエースが集う3区を走る予定で「試走して、今までテレビで見た所を走ってると思うとうれしい気持ちになった。初出場でチームの力は未知数。強い選手が集まる区間でどれだけ通用するか試したい」と話した。

 渥美は昨年の5000メートル県高校1位の記録保持者だ。しかし、今年は左足太もも裏の痛みに苦しんだ。6月の東海総体でインターハイ出場(5000メートル)を決めたが、ベストの2割の状態だった。11月の全国高校駅伝県予選も、ライバル浜松日体を抜きチームに貯金を作る快走だったが、ベストの5割程度だったという。「インターハイは出場できたのが奇跡だった。これまで、ラスト100メートルでのスパートが持ち味だったけど、今季は力が入らなくてラストに抜かれるしかなかった。今は、だいぶ良くなって足も気にならない。今まで経験したことがないほど苦しんだけど、都大路に行けて良かった」

 卒業後は中大経済学部に進学し、箱根を目指す。昨年の都大路で7位入賞した浜松日体の荻野真乃介(日大1年)と市町駅伝で再会し「やっと、俺たちに勝ったな」と祝福された。「大学では早くチームの力になれるように頑張って、箱根を走りたい」。

 1区を務める田辺は「試走であこがれだった西京極陸上競技場を見てテンションが上がった。他校に食らい付いていきたい」と話す。田辺も法大社会学部に合格し箱根を目指す。鳥井監督との誓いを実現した2人が、高校最後の駅伝で島田の歴史に名を刻む。【岩田千代巳】