日本レスリング協会の福田富昭会長(73)が、頭を丸めて男子の成績不振を謝罪した。レスリング世界選手権の日本代表は14日、米ラスベガスから成田空港着の航空機で帰国した。13連覇した吉田ら女子の活躍とは対照的に男子はフリー、グレコともにリオデジャネイロ五輪出場枠を獲得できなかった。本隊より1日早く帰国していた福田会長は理容室で頭をそり上げて会見に出席。「情けない結果。強化費など公のお金をいただいている。非常に申し訳ない」と謝った。

 協会トップの悲愴(ひそう)な姿に女子メダリストの会見は、暗いムードに包まれた。福田会長は、男子の戦いを技術、体力以前に「気持ちで逃げていた」と指摘し「格闘精神をたたき込まないといけない」と危機感を募らせた。日本レスリングの父と呼ばれる故八田一朗会長は、ライオンとのにらめっこなどで闘争心を植え付けた。八田イズムの継承者でもある福田会長は「直接ガンガン指導します」と珍しい練習も導入する考えだ。

 栄和人強化本部長は、協会に進退伺を提出する意向を示したが「蹴飛ばす。そんな弱気ではいけない。今の首脳陣で挽回してほしい」と、リオまで現在の強化体制を継続する方針。日本のレスリングは52年ヘルシンキ大会以来、ボイコットしたモスクワ以外は五輪のメダルを獲得している。「リオで途絶えたら大変なこと」。女子の会見後には、男子のフリー選手を呼び付け、約30分間説教していた。