男子テニスで、世界8位の錦織圭(25=日清食品)が使用するラケットのウイルソンが、錦織が引退するまで異例の長期契約を結ぶことを決めた。11月30日、ウイルソンを開発販売するアメアスポーツジャパンが都内で行われたイベントで発表した。4大大会歴代最多17度の優勝を誇る“生きる伝説”のフェデラー(34)と同じ契約になる。

 ついに伝説と並んだ。フェデラーだけじゃない。過去、サンプラス、エドベリ、グラフら、4大大会覇者を数多く生み出した世界の名門メーカーが、錦織と“生涯”タッグを組んだ。これには錦織も「自分のテニス人生を、ともに一緒に歩んで世界を狙いたい」と、世界一宣言で応えた。

 錦織は用具に関して非常に繊細で、その繊細さが数多くのショットを生む技術につながっている。「(ラケットは)一番の武器。一番大事なもの」。01年に11歳で全国小学生を制した時からウイルソン一筋だ。

 今年、パワーが増す新しくしたラケットで、サービスのスピードが向上した。1試合平均のエースの数は、昨年の4・3本から今年は4・6本と増加。来年も同じラケットで「大事な1年。(リオ)五輪でもメダルを取れるように頑張りたい」と、世界に挑む。

 ウイルソンは昨年創立100周年。その歴史の中でも、生涯契約を結んだ選手は、数少ない。すべて4大大会を制した名選手たちだ。現役では、錦織が最も憧れるフェデラーだけ。錦織が、生涯の友と、世界の歴史に名を刻む。【吉松忠弘】

<男子世界トップ10の使用ラケット>

(1)ジョコビッチ(セルビア)ヘッド

(2)マリー(英国)ヘッド

(3)フェデラー(スイス)ウイルソン

(4)バブリンカ(スイス)ヨネックス

(5)ナダル(スペイン)バボラ

(6)ベルディハ(チェコ)ヘッド

(7)フェレール(スペイン)プリンス

(8)錦織圭(日清食品)ウイルソン

(9)ガスケ(フランス)ヘッド

(10)ツォンガ(フランス)バボラ

※左からランキング、選手名(国および所属)、メーカー