帝京長岡(新潟)は北陸学院(石川)を下し、2年連続のベスト8入りを決めた。マリ人留学生の203センチCディアベイト・タヒロウ(2年)が前日25日の大分舞鶴戦で右ひざ内側靱帯(じんたい)を痛めながらも27得点、17リバウンド、5ブロックショットで孤軍奮闘した。故障を押して40分間フル出場し、快勝につなげた。きょう27日はインターハイに並ぶ4強入りをかけて能代工(秋田)と対戦する。

 相手が放ったシュートのさらに上から、ボールをたたき落とした。203センチのタヒロウが見せた豪快なプレー。ブロックショットを5度見舞い、北陸学院の得点機会を阻んだ。「きょうの試合はディフェンスで勝った」。右ひざ内側靱帯を伸ばしているとは思えない跳躍力とパワー。身体能力は別次元のものだった。

 前日25日の大分舞鶴戦で故障した。「ひざが内側に入ってしまった」とタヒロウは日本語で言う。この日のゲーム後は入念なアイシング。柴田勲監督(46)は「右ひざの靱帯を伸ばした。腫れがあって、本調子ではない」と話した。

 ところがどうだ。27得点、17リバウンドはともに両チーム最多。迫力満点のブロックショットは5回だ。「そんなに大丈夫じゃない。痛み、あります」と話したが、プレーからは痛みを感じさせない。40分間フルのコートは、タヒロウとPG高橋陸(3年)だけだった。

 帝京長岡のエースは相手にねらい撃ちされた。タヒロウがボールを持てば複数のディフェンスが囲み、リバウンドを狙えばボックスアウトしてゴール下への侵入を阻んだ。「相手のプレスが強くて大変だった」。それでもきっちり、得点とリバウンドで数字を残した。

 タヒロウには日本人のガールフレンドがいる。マリ人留学生の高校生活はバスケットだけでなく充実している。「昨日(25日)も電話で話した。頑張って、と言われた。パワー出る」と笑った。きょう27日は4強入りをかけて古豪・能代工(秋田)と対戦。勝てば夏のインターハイの成績に並ぶ。「走るのは大変じゃない。スタミナは大丈夫。もっと走る。ショートも入れる」。タヒロウは故障を度外視してコートで躍動する構えだった。【涌井幹雄】