遠軽(北北海道)はシード校の石見智翠館(島根)にノートライ負けを喫した。北海道勢としても91年以降破れない2回戦の壁は厚く、自慢のFW陣が相手のスピード、展開力に対応しきれず11トライを奪われ突き放された。プロップ井上雄太主将(3年)は「これで自分たちの代は終わったんだなと思ったら、自然と涙が出てきた」と、幕を閉じた高校生活を名残惜しんだ。

 2回戦3度目の挑戦。初の得点を刻んだ。前半11分、相手反則により得たPG。ゴール前15メートルほぼ中央からSO峯田晃(3年)が確実に決めて3点を奪った。「0点に終わらず、格上の相手から点を取れたのは大きい」。攻めの姿勢で後半5分、ラインアウトからモール、ラックと重ねたフェーズは20。突破はかなわなかったが、連続攻撃で敵陣ゴール間際まで迫り、強豪を苦しめた。10度目出場のチームは、確実に成長していることを証明した。

 昨年全国を逃してから1年。7月の北海道高校選抜大会では札幌山の手などに完封負けし、試合中にヒートアップして仲間同士でぶつかる場面もあった。山内宣明監督(47)から「気持ちを盛り上げるな」と戒められ、試合前などに聴いて士気を高めるチームのテーマソング、ゆずの「栄光の架橋」を聴くことを禁止されたこともあった。そんなフィフティーンが1つとなり、全国で戦い抜いた。「1、2回戦で成長した姿を見せられたんじゃないかな」と井上主将。2回戦突破の目標は後輩に託す。【保坂果那】

 ◆北海道勢対島根県勢 今年の遠軽で北海道勢は4戦4敗。過去3度の対戦もいずれも江の川(現石見智翠館)で、96年2回戦で函館大有斗が初対戦し0-72、98年1回戦で中標津が14-24、00年1回戦で札幌山の手が15-29で敗れている。