【バンクーバー(カナダ)9日(日本時間10日)=岡崎悠利】新生日本代表の初戦で松島幸太朗(23=サントリー)が待望の背番号15を背負う。日本協会は11日(同12日)のカナダ代表とのテストマッチの先発メンバーを発表した。W杯後初めて主力で編成され、19年W杯日本大会に向けた再スタートとなる一戦。けがで離脱中の五郎丸とはタイプが異なる快足アタッカーが、最後方から力強いステップで味方を押し上げる。

 19年W杯日本大会に向けた第1歩の試合で、松島が初めて背番号15の代表ジャージーを着る。練習を終えると、FBの役割について「強くキャリー(ボールを運び)し、ちゃんと前進できるようなプレーをしていきたい」と話した。キック主体の五郎丸とはタイプが違う。世界レベルのスピードとステップで防御の隙間を見つけ、するすると抜いていく。予測しづらいランは、W杯イングランド大会で証明済みだ。

 これまで日本代表では主にWTBで出場してきたが、FBこそ本領が発揮できる位置だと思っている。エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC)が就任した12年からFBは五郎丸の不動の位置だった。松島は「自分は複数ポジションができるからと切り替えていた」と悔しさを押し殺してきたが、ついにチャンスが巡ってきた。「WTBではあまり自分の持ち味が生きない。1番はFBですね」と短い言葉に闘志を込めた。

 今季は2年目のスーパーラグビーで自信をつかんだ。ワラタスで1試合も出られなかった昨季から、今季はレベルズで途中出場ながら6試合に出場。ボールを持って隙間を狙えば、大男に挟まれながらでも前進できた。「もう少しフィジカルを強くすれば相手をはじいて抜ける。試合に出ないと分からないこともあった」と進化を実感できた。

 19年W杯を有利に戦うため、日本は初の世界ランキング8位以内を目指している。来年5月に行われるW杯抽選会の時点での世界ランクは、11月までのテストマッチの結果で決まる。18、25日のスコットランド戦などが決まっている日本にとって格下のカナダ戦の敗戦は許されないと言っていい。集合から2日しか連係練習できずに臨むが、「目の前の試合に勝つことに集中する」と松島。シンプルな言葉がいつも以上に頼もしく聞こえた。

 ◆松島幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日生まれ。父がジンバブエ人で、南アフリカ・プレトリア出身。6歳の時に南アでラグビーを始める。神奈川・桐蔭学園高2年時に花園で準優勝。卒業後、南アのシャークスの育成組織で2年間プレーした。昨季はスーパーラグビー(SR)のワラタス、今季はSRのレベルズ(ともにオーストラリア)でプレー。14年5月のアジア5カ国対抗戦のフィリピン戦で日本代表デビューし、キャップ数は16。サントリー所属。175センチ、84キロ。