エディー(・ジョーンズ)さん(前日本代表ヘッドコーチ=現イングランド代表監督)は選手同様、スタッフにも厳しかった。いい仕事をしたら「お前らに感謝している」。悪ければ「やめろ」。グラウンドではよく選手へ「go back to ○○(所属チーム)」と叫んでいた。

 逆に自分のプライベートは見せなかった。お父さんを亡くしても普通に指揮を執った。去年5月、香港のホテルの片隅で一報を聞き、僕たちのところに戻ると目が真っ赤。でも選手は最後まで知らなかった。飲んだ時に「お悔やみ申し上げます」と伝えても「どうも」だけ。今振り返ると「あれだけのパワーと気持ちを注がないと成功しないんだな」と感じる。

 W杯後、僕はサンウルブズ(スーパーラグビー)にも同行した。第三者目線だが「代表はこの先どうなるのか」と思う場面はたくさんあった。代表強化のための舞台。なのにトップリーグの試合数や(休めない)選手のコンディション管理など、運営側は意思疎通できているのか。日本協会内部の話は分からないけれど、誰かリードしないとジェイミー(・ジョセフ新ヘッドコーチ)が頑張っても本当の強化ができない。

 先日話があり、11月からまた代表の通訳をさせてもらうことになりました。エディージャパンはスタッフもすごかった。自分を犠牲にし、チームに尽くす気持ち。まずは19年を、ラグビー界全体が同じレベルで見る必要があると思います。

 ◆佐藤秀典(さとう・ひでのり)1981年(昭56)3月28日、東京都生まれ。10歳で家族とオーストラリアに渡り、高校卒業後帰国。大阪の雑貨店に勤務後、通訳の母の影響でワールド、キヤノンの通訳を歴任。14年からバンド活動に専念も、エディーの要請で15年4月から日本代表通訳。