04年アテネ五輪代表の石坂真奈美(30=朝日生命)が、シングルマザーとなって7年ぶりに復帰した。

 4カ月前に出場を決めた石坂だが、種目別の床運動で3位に入るなど全4種目で安定した演技を披露。51・350で個人総合5位入賞を果たして、チームの優勝にも貢献し「久しぶりにしてはいい緊張感で、よくできた」と笑顔で話した。

 NHK杯4連覇などの実績を持つ石坂が競技を離れたのは、09年の国体後。直後に結婚し、翌10年には長男宗一郎くん(6)が誕生した。その後離婚して、3年前から指導者として体操界に復帰。2年前からは古巣の朝日生命でコーチを務めていた石坂を現役復帰へ後押ししたのは宗一郎くんだった。「何でママは試合に出ないの?」の言葉に試合出場を決意した。

 現役当時とほとんど変わらない151センチ、39キロのサイズを維持。午前中はクラブの事務、午後は指導で自身の練習は「2時間を週に2、3回」と多くはないが「集中してやっています」と話す。宗一郎くんからは毎日「優勝してね。頑張ってね」と励まされた。元夫にも「一応連絡したら、頑張れと言われました」。家族の応援が、力になった。この日もスタンドから「ママ頑張れ!」と愛息の声。「うれしかったですね。頑張れました」と笑った。

 アテネ五輪の映像を1度だけ見た宗一郎くんは「小学校でママはアテネに出たと自慢しているみたい」と話した。「内村(航平)くんみたいに、出れば勝つと思っているみたい。まだよく分からないんですよ」と母親の顔で言った。4年後の東京五輪は「それはないです。選手のサポートをしたい」と話したが、7年ぶりの試合が楽しかったようで「(チームの)お許しが出たら、団体(全日本団体選手権=11月)にも出てみたい」と「現役続行」に意欲的だった。