フィギュアスケート世界ジュニア選手権の女子ショートプログラム(SP)が今日17日、台北アリーナで行われる。2連覇を狙う本田真凜(15=大阪・関大中)の信念は「スケートは見た目、メーク(化粧)が大事」。演技をより魅力的にみせる、こだわりのメーク術に迫る。【取材・構成=高場泉穂、松本航】

 本田が今、夢中で取り組んでいるものがメークだ。

 本田 フィギュアスケートは見せる競技だと思うので、見た目やメークが大事だと思うんです。それによって、点数がどう変わるかは分かりませんが(自分の)メンタルにも大事。小さい時からこだわってきたけど、最近はもっとこだわるようになり、今、すっごい楽しいです。

 こだわりのあまり、自宅の部屋に専用棚もある。用途に合わせた化粧筆、10本超の口紅、流行の「アディクション」(注1)のアイシャドーなどお気に入りの道具で、時にはスケーターである2人の妹の顔を実験台にしながら試合のために研究を続ける。

 今季のSP曲は、浅田真央がソチ五輪シーズンのエキシビションで使用した「スマイル」。男性の優しい声に合わせた柔らかな滑りが堪能できるプログラムだ。この曲に合わせた化粧のテーマは「ふわふわ」。フィギュアといえば、遠くから見ても映えるよう目元、口元を強調した化粧が主流だが、本田は自然なメークを心がけ、それが逆に新鮮に美しく映る。

 本田 できるだけ薄く、そのままの感じを出そうと思っています。アイラインも茶色を使って薄く、垂れた(目元の)感じに。眉毛も眉マスカラ(注2)で薄めにしたり。口紅もちょっと色つくぐらいです。

 フリー曲は、過去に羽生結弦ら多くのスケーターが使用してきた「ロミオとジュリエット」。悲恋にちなんだドラマチックな旋律に合わせ、メークで「切なさ」を表現している。

 本田 眉は切ない感じが出るように。眉が濃い分、アイラインは上にはねさせています。リップは、ガッと描くのが嫌いなので、ポンポンと(唇の)周りをぼかしています。

 今大会ではSPでアイシャドーをいつもの茶からピンクに変えるプランもある。これまでピンクは「目が腫れて見える」と避けてきたが、同色の衣装と合うように、化粧品会社のプロにコツを聞き、勉強してきた。

 本田 練習より試合が好き。だから見られることがプレッシャーではないし、もっとこう見てほしい、っていうのが自分の中で出てくるんです。

 「見てほしい」という思いのこもったメーク、表情がそのまま本田の演技の魅力につながっている。

 (注1) 09年、日本人メークアップアーティストAYAKOによって始められたコスメブランド。繊細な色使いで、プロも愛用する。特に99色と豊富な色をそろえたアイシャドーが大人気。

 (注2) 眉毛に即席で色を染めることができるマスカラ。