リオデジャネイロ・パラリンピック男子シングルス8強、ダブルス4位の三木拓也(28=トヨタ自動車)が、シングルス準々決勝でで世界ランク1位のステファン・ウデ(46=フランス)に5-7、6-3、3-6のフルセットで惜敗した。

 リオの準々決勝で完敗して以来の対戦。試合途中にサービスの感覚がつかめなくなってダブルフォールトを乱発するなど苦戦し、気分転換にアンダーハンドという珍手も使った。それでもメンタルは崩れない。「相手を意識せず、自分のテニスがどこまでできるかを考えました」。

 サーブがダメならレシーブで、バックハンドが決まらなくても信じて打ち続けるというポジティブさでブレーク合戦に持ち込んだ。第1セットを先取した世界王者を何度も「ナイス!グッド!」とうなずかせるリターン、ダウンザラインで第2セットを奪い返す。戦いながら崩れたダービスも修正した。

 「勝てるチャンスがあったので悔しいです」と試合を振り返ったが、ウデのすごみもまた感じたという。「普通の選手はボールに怒りとか焦りが乗ってくるんです。でも、ウデにはそれがなかった。こっちが押し込んでも、(心が)折れたかどうか分からない」。三木の切れのあるショットを高く、深いボールを打つことで封じてきたしたたかさ。真田卓(31=凸版印刷)とのリオ4位コンビで挑んだダブルス準決勝でも、ウデとニコラ・ペイファー(26)のフランス金メダルペアに0-6、0-6と一蹴された。

 国枝の次を担う男そして期待される世界10位の三木にとって、世界のトップに近づいたことを実感し、世界のトップの強さを改めて学んだ大会になった。【小堀泰男】