16歳の「みまひな」が日本女子ペア16年ぶりのメダルを獲得した。女子ダブルス準々決勝で、伊藤美誠(スターツ)早田ひな(福岡・希望が丘高)組が、杜凱琴、李皓晴(香港)組に4-0で完勝し、ベスト4に入り、3位決定戦がないため、01年大阪大会の武田、川越組以来の銅メダル以上が確定。男子ダブルスでも丹羽孝希(スヴェンソン)吉村真晴(名古屋ダイハツ)組と大島祐哉(木下グループ)森薗政崇(明大)組がベスト4に進出した。

 16歳の2人が抱き合う。「メダル決定戦」の準々決勝で、香港ペアにストレートで完勝。伊藤は「メダルを取りに来た。すごくうれしい」と笑みを浮かべ、早田も「盛り上がりすぎて、どうにかなっちゃいそう」と興奮冷めやらぬ表情で言った。

 互いに明るい性格。どちらかがミスをしても、笑いながら「頑張ろう」と言い合って引きずらない。第1ゲームを12-10の接戦で制すと、イケイケの勢いに乗った。第2ゲーム以降はピンチらしいピンチもなく、相手を寄せ付けなかった。

 シングルスで48年ぶりのメダルを決めた平野を含め、00年生まれトリオの躍進が続く。幼少期から競り合い、中学2年のアジアジュニア選手権の団体は決勝で中国を倒した。伊藤は「良い仲間でライバル。2人がいなければ、ここまでこれていない」と平野、早田の存在を感じる。結成わずか4カ月でも、スピードの伊藤とパワーの早田のコンビネーションは抜群だった。

 そんな黄金世代の自信を深める転機もあった。4月のアジア選手権(中国)。団体戦決勝は平野、伊藤、早田ともに中国選手に敗れた。それでも3人は「中国はそんなに怖くなかった。強くない」と口をそろえた。その4日後、シングルスで平野が中国勢に3連勝して優勝した。伊藤が「中国選手も無理な相手ではない」と言えば、早田も「自分も勝てる」と刺激にした。中国勢への自信が、今回の飛躍のきっかけになった。

 5日の準決勝は世界ランク1位丁寧、2位劉詩■(中国)の最強中国ペアと対戦する。早田は「感動を与えられるプレーをしたい」と重圧はない。フレッシュな高校2年の「みまひな」に勢いがある。

※■は雨カンムリに文の旧字体

 ◆伊藤美誠(いとう・みま)2000年(平12)10月21日、静岡県磐田市生まれ。2歳で卓球を始める。11年1月の全日本選手権一般の部では10歳2カ月で史上最年少勝利。15年4月の世界選手権蘇州大会では、14歳192日で日本人最年少の8強入り。昨年リオ五輪女子団体銅メダルに貢献。今年4月のアジア選手権女子団体銀、早田と組んだ女子ダブルスで銅。大阪・昇陽高2年。世界ランク10位。150センチ。

 ◆早田(はやた)ひな 2000年(平12)7月7日、福岡県北九州市生まれ。4歳から卓球を始める。14年4月のワールドツアー、チリ・オープンの女子シングルスに史上最年少13歳で決勝進出。同9月のアジアジュニア選手権のカデット(中学1、2年)女子団体で平野、伊藤のトリオで出場し、決勝で中国を倒し優勝。今年4月のアジア選手権女子団体銀、伊藤と組んだ女子ダブルスで銅。福岡・希望が丘高2年。世界ランク16位。166センチ。