ツアー優勝の次は初勝利だ。先週のアンタルヤオープン(トルコ)で、日本男子3人目のツアー優勝を遂げた世界44位の杉田祐一(28=三菱電機)が、今度は自身初の4大大会勝利を挙げた。同232位で大会推薦出場のクライン(英国)に7-6、6-3、6-0で勝ち、2回戦で同25位のロペス(スペイン)-同51位のマナリノ(フランス)との勝者と対戦する。

 日本テニスの旬は杉田だ。先週は日本男子初のツアー芝大会優勝。引き続き、今週は4大大会自身初勝利をものにした。優勝の余韻もわずか。「喜びもつかの間。会場に入ると引き締まる」と、すでに気持ちを切り替え、聖地の芝で記念すべき初の1勝を挙げた。

 第1セットは自分のサーブで何度もブレークされるピンチがあった。しかし、その度にサーブで切り抜け、タイブレークでレベルを上げた。その余力を残した戦いぶりこそ、ツアー優勝で養った自信の証しだ。

 優勝した1日の深夜に格安航空会社でロンドンへ飛んだ。着いたのが2日の早朝。中1日を挟んでこの日の試合を迎えた。疲れよりも難しいのは、優勝したトルコと今大会の芝の性質の違い。「向こうはめちゃくちゃ(球足が)速かった。こっちは少し遅い」。ウィンブルドンは8ミリと芝の高さが高めで、それに適応するのに時間がかかった。

 前哨戦で優勝した選手は、逆に本番で苦戦を強いられるという。過去5年、前哨戦は18大会あったが、その優勝者がウィンブルドンも制したのは、13、16年のエイゴン選手権(ロンドン)覇者のマリー(英国)だけ。準々決勝に進んだのも4回しかない。

 そんな困難な条件でもしっかりとランク下の選手に勝ちきった。日本テニス史に残る快挙を達成した翌週に、簡単に負けるわけにはいかない。緑の芝の上で貫禄十分に戦う杉田から、そんな雰囲気が漂っていた。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 5日午後7時半から。6日午前0時から、ともにWOWOWライブ。生中継。男女シングルス2回戦ほか。