男子ダブルス準決勝で、井上拓斗(22)金子祐樹(23=ともに日本ユニシス)組が、昨年全英オープン覇者のウラジミール・イワノフ、イワン・ソゾノフ組(ロシア)を2-1と逆転勝ちし、決勝進出を決めた。中学1年にペア結成。コート外では決して仲良くないが、コート内では抜群のコンビネーションで快進撃を続ける。新星「イノカネ」ペアとして日本勢初優勝を狙う。

 ウイニングショットをたたきつけた井上はコートに大の字になって喜びをかみしめた。163センチの井上に対し、イワノフは197センチ。ペアの最大身長差34センチと見た目は劣勢も「イノカネ」ペアはひるまない。逆転勝利で日本勢初の男子ダブルス優勝を目前にした。金子は「まさかここまで来るとは」と驚きを隠せなかった。

 「俺のリベンジをかけてくれ」。試合前、遠藤とのペアで15年世界選手権銀メダルを獲得した早川コーチから言われた。昨年全英オープン決勝で、この日のロシアペアに敗れた早川コーチ。22日の準々決勝で世界選手権銅の園田、嘉村組が敗れた映像を研究。早川コーチと、低い展開と左右に動かす作戦を立て、勝利を呼び込んだ。

 小学校時代から知り合いで、埼玉栄中1年で初めてペアを組んだ。結成10年も、金子は「2人でご飯を食べることはない。気は合わないかもしれませんね」。コート外ではほとんど会話もなく、遠征では同部屋も、互いにイヤホンをして別世界に入る。それでもコートに入れば別。金子は「プレースタイルだけは合う。そうでないと、ここまで組んでない」と続けた。

 そんな大人同士の仕事人の実力が、今年に入って開花する。6月のオーストラリア・オープンでベスト8に進出。7月の全日本実業団(秋田)では、日本の1番手ペアの園田、嘉村組を撃破。今大会も快進撃を続ける。今日24日は世界ランク2位ギデオン、サンジャヤ組(インドネシア)に挑む。「ラリーでリズムに乗って、粘り強く1点を取る、自分たちの良さを出したい」と金子。「イノカネ」がコート内ではどのペアにも負けない「連係」を武器にする。【田口潤】