ベスト8、いや全勝も狙える-。サントリー監督の沢木敬介氏(42)は「これ以上ない日程」と初の決勝トーナメント進出を後押しした。日本代表コーチを務めた15年大会の経験から試合間隔に注目。余裕ある日程とホームの利を生かして戦えば、1位突破の可能性もあると分析した。

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 日程、いいじゃないですか。試合間隔も会場も、これ以上ないもの。決勝トーナメントには3勝しないといけないが、3勝どころか全勝も狙える。ホームアドバンテージを生かした、いい日程になったと思う。

 これまで日本などの中堅国は中3日の試合を強いられてきた。中3日は体力的に厳しい。4年間分の思いを激しくぶつけ合うW杯では、普段のテストマッチとは比べものにならないダメージを受ける。W杯での中3日は特に厳しい。

 前回大会も、初戦で南アフリカに勝った後、スコットランド戦までは中3日だった。予想以上に選手の消耗は激しく、ケガ人も戻れなかった。結局、メンバーを入れ替えて臨み、1敗を喫した。しかし、今回は中7日ある。十分リカバリーの時間があり、次の試合の準備もできる。それだけでも、日本は有利になる。

 会場もベストだ。まず、移動が楽。天候など気候変化も少ない。前回大会は1、3戦と2、4戦で環境が違った。1、3戦はハイブリッド芝でピッチコンディションは良かったが、2、4戦は天然芝で重馬場だった。事前の視察で分かっていたが、それでも一戦ごとに違う芝は慣れるのに苦労した。今回は4会場とも同様のコンディション。環境面でも心配は少ない。

 大きな大会の鉄則だが、初戦が重要。欧州予選勝者は勝てる相手なので、確実にいいスタートを切れる。前回は南アフリカに勝ち最高のスタートを切り、精神的にはチームも選手も乗っていた。しかし、中3日で体力は回復しなかった。今回はアイルランド戦まで中7日と時間がある。コンディションで相手を上回れる。

 3戦目も初戦に次いで大事な試合となるが、相手が強豪ではなくプレーオフ勝者というのも大きい。1、2戦の疲労もあり、最も普段の練習量がものをいう試合。ハードトレーニングをしている日本なら勝てる。

 3勝で決勝トーナメント進出を決め、最後はスコットランド。相手は中3日で前回大会とは逆になる。いいリベンジの場だし、時間があれば戦い方も徹底できる。チャンスはある。前回大会の悔しさを晴らし、一気に全勝で決勝トーナメントに駒を進めてほしい。

 ◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田県男鹿市生まれ。秋田経法大付高-日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍し、日本代表キャップ7。06年に故障の影響もあって引退。その後6年間、サントリーでコーチを務める。13年にU-20日本代表監督就任、14年から日本代表コーチも務め、15年W杯3勝に貢献した。16年にサントリー監督に就任し、1年目でチームを復活優勝に導いた。