「4度目の正直」へ、1歩を踏み出す。10年バンクーバー五輪男子500メートル銅メダリスト加藤条治(32=博慈会)が3日、W杯開幕戦のヘーレンフェイン大会(オランダ)出場のため、成田空港から出発した。06年トリノ大会から金メダル候補として日本スケート界を背負ってきた。ベテランの域に入った今回は金メダル候補と騒がれてはいないが、虎視眈々(たんたん)と一発を狙っている。

 前回のソチ五輪も金メダル候補として期待されたが、スタートに失敗して5位に終わった。ソチ後は1年間の休養、ケガもあり、かつてのような結果は出していない。だが、2月の世界距離別選手権では日本人2位となる8位入賞で健在ぶりを示し、2週前の全日本距離別選手権では35秒10の4位に入り、W杯代表権を勝ち取った。

 10年以上、日本スケート界を引っ張ってきたが、今回は小平奈緒(31=相沢病院)高木美帆(23=日体大助手)らがメダル候補と騒がれる中で、影は薄い。それでも本人は、そんな今の状況を楽しんでいる。「伸び伸びできるのはある。全然期待されていないところからドカンと行く方が面白い」と、勝算ありの表情を浮かべた。

 4回目の五輪となるだけに、調整法は把握。「(五輪まで)100日前とかは知らない。余計な情報」と大舞台への重圧もない。ソチ五輪後の15年3月には長女も誕生。「伸びしろはめちゃくちゃありますね。まだまだ伸びる可能性も、伸びるための作戦もある。メダルを取って、奥さん、子供に見せたい気持ちはある」。ベテランならではの経験と立場の変化が、プラスに働きそうだ。