Bシードの目黒学院(東京第1)が、長崎南山に26-20で競り勝った。7月に元日本代表ヘッドコーチでイングランド代表のエディー・ジョーンズ監督(57)の指導を受け、声が小さく、控えめだったプロップ岩上龍(2年)が変身。1トライだけでなく、試合を通じて積極的なプレーで引っ張った。来年元日に3回戦8試合が行われる。

 岩上はジョーンズ監督の教えを花園でも体現した。21-20の後半27分。敵陣ゴール前5メートルの左中間ラックからボールを持ち出し、勝利を決定づけるトライ。「空いていたスペースを狙った」と口元を緩ませた。

 目黒学院はテレビ番組の企画で7月にジョーンズ監督の指導を受けた。当時控え選手だった岩上は、もともと内気で大きな声を出せずにいた。「もっと隣の選手と具体的なコミュニケーションを取りなさい」。そう声をかけられ目を覚ました。5日間の指導で、大きな声でパスを要求できるようになると、スムーズに連係できた。チーム2番目に重い108キロは存在感を増し、東京大会からは先発をつかんだ。この日のトライも「自分から自信を持っていけた」と胸を張った。

 この試合で自分に課した目標は相手プロップに負けないこと。「自分がどうしたいのかが明確に示せるようになった」。寮での掃除や食器洗いの班が同じFB高橋主将が「岩上は前は指示待ち人間だったけれど、今は積極的にやりますと言うようになった」と言えば、試合前日に41歳になった竹内監督も「前よりも、何事にも頑張れる子になった」と「エディー塾」での変身ぶりに目を細めた。

 15年W杯で南アフリカからの歴史的金星などで世界を驚かせた名将にもらった金言を胸に、元日には大阪桐蔭(大阪第1)と対戦する。【戸田月菜】