男子プロバスケットボールBリーグ、レバンガ北海道の折茂武彦選手兼社長(47)が、ベテランならではの記録到達を目前にしている。現役25シーズン目で、国内通算出場時間があと40分で2万分に達する。1日、週末3、4日のアルバルク東京戦(函館)に向けた練習を札幌・北海きたえーるで報道陣に公開。4日にも節目の記録に到達する見込みで、93~07年に在籍した古巣との2連戦に意欲を見せた。

 シュートを外せば声を上げて悔しがり、決まれば軽くこぶしを握りしめる。コートに立った時間が2万分まで残り40分となったこの日の練習も、折茂のバスケットボールへの思いに変化はなかった。「丈夫な体に産んでくれた両親に感謝しないと」と、少し照れながら言った。

 日大卒業後、93年にトヨタ自動車の社員選手としてキャリアが始まった。東京総務部のファシリティ室でオフィスの机など備品管理をしながら競技を続けた。「『バスケ? ハアッ? 何それ』というような部署で働く選手がいる中、恵まれた環境だった」と当時を振り返る。

 3年目で専属選手となったが、同時に生活も荒れた。年間16~20試合ほどのリーグ戦の時期と日本代表の遠征を除けば、約3カ月休養。折茂は「半端じゃないグータラ生活。夜と昼が完全に逆転した。好きなバスケでお金ももらえて、これだけ長く休みがある職業はない。うれし過ぎちゃって、少しでも長く続けたいと思った」と、さまざまな思いで自身を鼓舞してきた。

 社員から契約選手、プロ、選手兼社長へ。国内トップリーグが分裂していた時期の記録が認定できないため公式にはならないが、2万分が国内最多であることは確実だ。25季の1試合平均出場時間は約28・8分。今季もチーム日本人最多274点を稼ぎ、1月28日の栃木戦でも26分33秒出場したばかり。常に中心で、最初の1分と変わらぬ輝きを放つ。「長く続けていればできる記録より、勝つための得点」。函館での古巣東京との戦いでまた、47歳が歴史を変える。【中島洋尚】

<2万分アラカルト>

 ◆飛脚 江戸~大坂間を2・5~3日で結んだとされる。約14日だと2~3往復できる計算。

 ◆自動車 平均時速60キロで333・3時間走ると、地球1周約4万キロの半分の約2万キロ。

 ◆ウルトラマン 6666回ほど地球で戦える。カップ麺も6666食分。

 ◆新幹線 東京~新大阪間の最短は2時間22分。138回以上往復できる。

 ◆NBA最多出場 年間82試合、1試合48分のNBA1位は、レイカーズなどでプレーしたカリーム・アブドゥル=ジャバー氏(70)の5万7446分。

 ◆NBA最多平均出場 最多は、ウォリアーズなどで活躍した故ウィルト・チェンバレンの45・8分。折茂の28・8分はNBAなら30位に相当。

 ◆サッカー 約222試合分。三浦知良(50=横浜FC)は、J1通算321試合2万6316分出場。