レバンガ北海道は74-72で中地区3位の新潟アルビレックスBBを下し、9戦ぶりの勝利で今季最終戦を締めくくった。クラブの横田陽CEO(41)は、Bリーグ現役最年長、25年目のシーズンを終えた折茂武彦選手兼社長(47)への来季現役続行オファーを明言。悲願のチャンピオンシップ進出、通算1万点、東京オリンピック出場への思いを後押しする。

 四半世紀で9829点を重ねた折茂が、来季もコートに立つ。練習の合間に企業の講演会で演壇に立つなど、営業の最前線を走りながら、2季連続全試合に出場した。各チームから「キーマン」と警戒され、しつこいマークを受けながらも、無得点に終わったのは4試合のみ。472点は多嶋朝飛(29)の454点を抑え、チーム日本人最多。出場時間は多嶋、桜井よりも短いだけに、スコアラーとしての能力に衰えはない。横田CEOは「スタッツ(成績)を見れば、選手として契約しない理由が見あたらない」と残留交渉に入る姿勢を明確に示した。

 今季は2年後に迫った東京五輪挑戦の覚悟を打ち明けて始まった。昨年は「(横浜FCの)カズさんもまだ、本気でワールドカップ(W杯)を目指している。バスケットを始めた時からの夢を、東京五輪でかなえたい」とも語っている。日本代表はW杯アジア1次予選4連敗中と、本戦、そして五輪出場も危機的な状況。折茂もここまでは招集の声がかからなかったが、日本代表アシスタントコーチの佐古賢一氏(47)は「技術的には十分代表でやれる。代表の中に、折茂の役割はあるし、一緒にやりたい」と思いを語っている。

 国内リーグ通算1万点の大台まで、あと171点。来季を戦うモチベーションは依然として高い。外国人選手のベンチ入り枠が3から2に削減されるルール変更の可能性もあり、得点源・折茂の存在が、チームの浮沈を左右する。清永貴彦チーム統括(43)も「残ってくれると信じたい」とチーム構成上不可欠な選手として、残留を期待する。

 この日集まった4883人に、手を振って応えた折茂。日本バスケットボール界の生きる伝説が、26年目のシーズンへ向けてしばしの休息をとる。【中島洋尚】

 ◆折茂武彦 おりも・たけひこ。1970年(昭45)5月14日、埼玉県上尾市生まれ。埼玉栄高2、3年の総体に出場し、3年時は8強&得点王。日大では主将だった4年のインカレで優勝&MVP。93年トヨタ自動車入り。同年日本代表初選出。94年アジア大会銅メダル。98年世界選手権出場。07年レラカムイ北海道移籍。06年世界選手権で4年ぶりに代表復帰。現在はレバンガ北海道の選手兼社長。Bリーグ理事。家族は夫人と1男。190センチ、77キロ。