世界ランキング24位の錦織圭(28=日清食品)が完勝だ。2週前のミュンヘンで、自身18度目のツアー決勝に進んだ同28位のコールシュライバー(ドイツ)にテニスをさせず。6-1、6-2のわずか63分で圧倒。ベスト8に進出した。「ミスは少なかったし、ほぼ完璧に近いプレーはできていた」。

 ただ、相手もそれほど好調ではなかったと見る。それはあまり弾まないコートにあったという。「夜になって、水もかなり増えていたのと、ボールがすごく重く感じた」。そのため、スピンをかける球が打ちにくく、それが有利に働いたという。「そのおかげもあり、彼の得意な重いボールで、そこまでダメージを食らわなかった」。

 それにしても、この日の錦織の打った球は、よく伸びていた。選手の好不調を見分ける1つの基準に、飛んでいる球の質がある。テニス界では、よく「球が飛んでいる」、「球が飛んでない」という言葉を使う。球に、スイングする自分の力を全て伝えられているかどうか。球が飛んでいると伸びがあり、飛んでいないと失速したように見える。

 ざくっと言えば、緊張して硬くなると球は飛ばない。特に錦織の場合、腕が縮こまり、うまく力を球に伝えられなくなる。それがリラックスしていると、腕がムチのようにしなり、球に最大限の力が伝わるということだ。この日は「結構、早いタイミングでフラットで打って行けた」。球は伸び、相手は打ち負けた。

 準々決勝で対戦するジョコビッチとでも、この球質をどのぐらい打ち続けられるか。「数人ですけど、まだ若干、苦手意識とか(がある選手)。少しほかの選手とは違った試合前の感情にはなる。さらに気持ちを強く持たないといけない」。先週のマドリードでは何と1回戦で対戦した。過去の対戦成績は錦織から2勝12敗。ただ「いつか、明日、できれば打開したい」と勝ちへの意欲を募らせる。もし勝てば、27日開幕の全仏で、上位16シードも見えてくる。

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