日大アメリカンフットボール部の選手による悪質な反則問題で、日大教職員組合は5月31日、内田正人前監督(62)を常務理事などすべての役職から解任するよう求める要求書を都内の日大本部に提出した。田中英寿理事長宛てで「大学上層部の『解体的な出直し』を図るべき」とし、内田前監督ら5人の常務理事全員と田中理事長、大塚吉兵衛学長の解任を求めた。また、趣旨に賛同する教職員の署名も集める。

 日大再生へ今度は教職員組合が、立ち上がった。田中理事長ら上層部一掃を求めた要求書を、同組合の菊地香委員長らが、都内の日大本部にある人事部に提出した。同委員長は「反則が明らかになった後、大学は被害者らが納得するような対応をしなかった。その責任は田中理事長らにある」と話し、反則問題が社会的な問題に発展し、信頼を失墜させた一連の大学側の対応を批判。田中理事長が会見を開かないことにも吉原令子副委員長は「なぜなのか分からない」と不満を口にし、「田中体制」総退陣を強く求めた。

 要求書では「保身や組織防衛のためには学生を平気で切り捨てる大学という負の烙印(らくいん)が押された」と批判。その上で<1>内田前監督の日大常務理事、保健体育審議会事務局長などすべての職を解任<2>アメフト部部長、副部長、コーチ全員の退陣<3>上意下達の体質の改善<4>常務理事5人、田中理事長、大塚学長の辞任の4項目を挙げた。さらに、大学の構造的問題に目を向けるべきだとし、運動部の監督や部長が理事を兼任することを禁じ、権力の一点集中などを抑える仕組み作りを提言した。吉原副委員長は「何もかもがトップダウンで降りてくる。我々も変わらなくてはいけないが、学校にも変わってもらいたい。変わるためには理事長、常務理事、学長にも辞任を求めていく」と話した。

 要求書提出と同時に趣旨に賛同する教職員の署名も開始する。組合員は約250人だが、署名募集の対象は日大だけでなく、付属高校の教職員にも広げる。吉原副委員長は人事権などを持つ上層部を批判することで、報復人事を恐れる職員もいるとしながら「不安もあるが、私たちがここで声を上げないと」と語った。山本篤民書記長は「日本大学の失われた信頼、信用を1日でも早く取り戻したい」と訴えた。