東京五輪に臨む日本代表チームの「愛称」が出そろった。日本ハンドボール協会は11日、男子日本代表の愛称「彗星(すいせい)ジャパン」を発表。4月の公募で集まった1000件の候補の中から「男子のスピードある動きと、力強いシュートの軌跡が彗星に合致すると判断しました」と選定理由が説明された。

 04年にサッカー女子日本代表の愛称が「なでしこジャパン」に決まって以来、各競技で次々と日本代表の愛称が決定。20年東京五輪実施の団体球技で、愛称がないのは男子ハンドボールだけになっていた。

 都内で行われた会見に出席した信太弘樹主将(28=大崎電気)は「スピーディーなイメージでいい。この愛称が浸透していってほしい」と歓迎。チーム最年長の門山哲也(34=トヨタ車体)は「由来のスピードある試合をして、みんなに覚えてほしい」と言い、最年長の部井久アダム(19=中大)は「覚えやすい名前。チームカラーを近づけていきたい」と話した。

 各団体球技の愛称には、認知度に大きな差がある。国民栄誉賞の「なでしこジャパン」や男子野球の「侍ジャパン」は知名度も高いが、他は決して一般的に定着しているとは言えない。

 「サクラセブンズ」(7人制ラグビー女子)や「アカツキファイブ」(バスケットボール男女)は1チームの人数が分かるし「ポセイドンジャパン」は水の球技だと予想できる(難問クイズレベルだけど)。「さくらジャパン」(ホッケー女子)や「龍神NIPPON」(バレーボール男子)は、関係者かよほどのファンでなければ難しい。「さむらいジャパン」(ホッケー男子)は、野球をまねたと思われるだろう(実はホッケーの方が先)。

 愛称が定着するかどうかは、成績が大きい。「なでしこジャパン」が広く知られたのは11年W杯で優勝したから。「侍ジャパン」もWBCで世界一になって誰もが知るようになった。

 4月に開催国として東京五輪出場が正式に決定、5月には来年1月の世界選手権(ドイツ、デンマーク)に推薦枠での出場が決まった「彗星ジャパン」。名前を売るためには、結果が必要だ。「勝つことでメディアも扱ってくれる。結果に人気もついてくる」と部井久。勝利が愛称定着につながることは分かっている。

 13日には、徳島に王国ドイツを迎えて「彗星ジャパン」のデビュー戦が行われる。「彗星」のようにはかなく消滅することがないように。「世界のトップが相手だが、勝ちにいくことが前提。チーム全員の成長をみせたい」。門山は力を込めて話していた。【荻島弘一】