東京オリンピック(五輪)で行われる3種目の複合(スピード、ボルダリング、リード)の国内大会が初めて行われ、男子は楢崎智亜(22=TEAM au)が首位で予選を通過した。2位には弟明智(19)が入り、兄弟ともに今日24日の決勝に臨む。女子は地元盛岡市出身の伊藤ふたば(16)が首位で通過し、野口啓代(29)、野中生萌(21)が続いた。複合は3種目の順位を掛け合わせたポイントの少ない選手が上位になる。

 楢崎智は、東京五輪と同じ順位決定方法に救われた。第1種目のスピードで6秒93をマーク。日本記録を更新し1位に立つ。号砲から0・1~0・2秒の間に素早くスタートを切る練習を重ねた結果の更新に「うれしかった」と笑顔。しかし、次のリードで命綱がルート途中にある金具から外れる痛恨のミスで21位となった。「こんな失敗初めて。順調だったんですけど、不注意です」。3種目の順位を掛け算して算出する複合順位への影響を痛感し、「21位はまずいぞ」と焦りながらも奮起。最後のボルダリングでは2完登(かんとう)で2位とし、「1×21×2」の42点で首位に立った。

 今大会を「複合がどんな感じかをつかみたい」と位置づけつつ「大会だから勝ちたい」と初代複合王者に向けて闘志を燃やした。

 ◆スポーツクライミング 20年東京五輪で正式採用。スピードは高さ15メートルの壁を登るタイムを競う。ボルダリングは高さ3~5メートルの壁にさまざまな形のホールド(突起物)が設置され、複数の課題(コース)に挑んで制限時間内の完登数を競う。壁の高さ12メートル以上のリードは制限時間内に到達高度を競う。