昨年の世界選手権女子個人銀メダリストの岸彩乃(25=金沢学院大ク)が予選16位で上位8人の決勝に進めず、世界選手権切符を逃した。

 2度の試技のうち、第1演技は難なくまとめたが、第2演技の前半で体勢を崩し、通しきれなかった。出場16人中最下位の51・915点。試合後、岸は「自分でも分からない。気持ちの整理もできていない」と声を震わせながら振り返った。昨年日本女子史上初の個人メダルを獲得した後も、謙虚に練習を重ねてきた。それでも「どこかで甘えというか、弱さが出てきたのかな」と自分を責めた。

 5月の選考会に続き、2大会連続の失敗。ともに練習する昨年世界選手権シンクロ銀メダリストの森ひかる(20=金沢学院大ク)は「練習では調子が良かったし、必ず決めてくれると思っていた。プレッシャーが強くあったのだと思います」とおもんぱかった。

 岸は12年ロンドン五輪出場も、16年リオ五輪は代表落ち。いったん引退も考えたが、悩んだ末に20年東京五輪で初のメダル獲得を目指すと心を決めた。「この失敗がプラスになるかマイナスになるかは、今後の練習、試合次第。ここで終わらないようにしたい」。8月に控える次戦W杯前橋大会で「しっかりと演技したい」と前を向いた。

 また、男子では16年リオデジャネイロ五輪4位の棟朝銀河(24=セイコー)も予選落ちした。数日前の練習の際に、左足薬指を剥離骨折。痛み止めを飲んだ試合に臨んだ。それでも「恐怖心をぬぐえなかった」と本来の動きは出し切れなかった。2年後の東京五輪に向け、「このタイミングで自分を見つめ直す時間をもらえた」と受け止め、「1つ1つの技の精度を見直し、体づくりもしていきたい」と話した。