日大アメリカンフットボール部の反則問題で、日大の第三者委員会が30日、都内で最終報告書を公表した。経営トップの田中英寿理事長(71)がガバナンスの機能不全を放置し、説明責任を果たしていないと指摘。組織改編などの改善策提示とともに、理事長には反省声明発表を要望にとどまった。

 日大の第三者委員会の最終報告書で、日大の理事を当時務めていた井ノ口氏らによる隠蔽(いんぺい)工作の詳細が明らかになった。

 危険なタックルがあった関学大との定期戦から約1週間後の5月14日、内田前監督の指示で井上前コーチが加害選手とその父親を大学に呼び出した。その場で井ノ口氏は内田前監督らの関与がなかったと説明するように求め「(同意すれば)一生面倒を見る。そうでなかった時には日大が総力を挙げてつぶしにいく」と口封じを図った。

 その2日後には、日大職員がアメリカンフットボール部員数人に、日大の事情聴取の際に内田氏の指示について話さないように求めた。

 ただし第三者委は組織的な口封じについて「その可能性は否定できないが、断言する証拠は持ち合わせていない」とした。