小学6年の柔道家コンビが日本代表選手らを驚愕(きょうがく)させた。

 柔道の世界選手権(9月、アゼルバイジャン)日本代表選手団の壮行式が7日、東京・講道館で行われ、饒平名和貴(よへな・ともき)くんと大坪優一くん(ともに春日柔道クラブ)が仰天の激励あいさつをした。

 男女代表選手のあいさつ後、饒平名くんは自身で考えた文面を気持ちを込めてゆっくりと読み上げた。

 饒平名くん 僕は普段、華やかな表舞台に立つ選手たちを支える方々について考えました。この方たちは選手たちを知り尽くしていて一番の応援団でもあります。まず家族。僕の両親も食事管理や練習試合での送り迎えとさまざまな形でサポートしてくれています。選手のみなさんの家族も同じだと思います。普段の練習相手も大切です。一緒に笑ったり悔しくて泣くこともあったでしょう。チームドクターの先生や整骨院の先生、栄養士の先生、道場や学校の先生らまだまだ数え切れない位の大勢の方が選手の皆さんを支えてきたのだと思います。一番の理解者であり、一番の応援団です。立場の違う人々がそれぞれいろんな気持ちで応援しています。今まで支えてくれた人たちの気持ちを背負って、一本で勝つ柔道をしっかりと見せてください。

 日本代表の現在の心情や重圧を理解し、小学生とは思えない言葉に選手らも驚きを隠せない様子だった。400字の原稿用紙1枚半にまとめられた直筆の文面を読み上げ、最後は大坪くんが締めくくった。

 大坪くん 僕たちが柔道を学ぶ講道館には世界中の人々がやってきて汗を流しています。「この講道館の畳の上で稽古をするために世界中の柔道選手が大変な努力をし、強い信念を持ってやってくるんだ」。こう教えてもらった一言が印象に残っています。皆さんが臨む、アゼルバイジャンの畳も特別なものだと思います。ただ、ひたすら技を磨き、悔し涙を乗り越えて踏みしめる畳。そんなみなさんの勇姿を僕たちはテレビの画面でしか応援できません。ですが、道場にいる時はたくさんの人々の汗や涙がしみこんだ畳に応援の言葉を語りかけようと思います。畳の上で流した汗や涙はきっと結果につながると信じています。そして、僕たちの応援の言葉も届けてくれると思います。これから僕たちは、ますます稽古に励み、いつか憧れのみなさんのような技や勇姿が畳に刻めるよう、日々、柔道に取り組んでいきたいと思います。その思いを追い風にして、バクー(アゼルバイジャン)の畳の上でみなさんが活躍されることを心から願っています。

 あいさつ後、選手や関係者らから盛大な拍手が送られた。一部の選手は感極まって涙していた。小6の柔道家コンビが、日本代表選手と同じぐらい輝いている2分間だった。