体操の宮川紗江選手(18)にパワハラされたと訴えられた日本協会の塚原千恵子女子強化本部長(71)と夫の塚原光男副会長(70)が31日、代理人弁護士を通じて文書で「私たちにも責任があることは確か。私たちの言動で深く傷つけたことを本当に申し訳なく思っております」と謝罪した。その一方で塚原本部長は「100倍よく教えられる」などと言われたとする宮川選手の主張については「このような発言をした事実はありません」と反論した。

文書ではまず冒頭で、強化合宿中の選手たちに「精神的に動揺させてしまい、このような形で騒がせてしまったことについて心より謝罪を申し上げます」とした上で、「そして何より、まだ18歳という宮川紗江選手にこのような会見をさせてしまったことにつきましても、私たちに責任があることは確かであり、心からおわび申し上げます」と謝罪した。さらに「私たちの言動で宮川選手の心を深く傷つけてしまったことを本当に申し訳なく思っております」と重ねて謝罪した。

一方で、宮川選手が29日に行った会見の発言内容などについて反論もしている。まず塚原本部長が、速見コーチよりも「100倍よく教えられる」と言ったという点については「このような発言をした事実はありません」と否定。さらに、速見コーチの指導を引き続き受けたいという希望は家族も認めているという宮川選手に対して、塚原本部長が「家族でどうかしている。宗教みたい」と発言したとされたことについては、宮川選手が「家族もコーチの暴力を認めている」と言っていたので、「思わずたとえとして、宗教みたいと言ってしまった」と認め、「この言葉については不適切だったと大変反省しております」とした。

そして宮川選手が、塚原本部長が、自分が監督を務める朝日生命体操クラブに加入を勧めてきたと主張していることについては「真実と異なります。一切、勧誘を行っておりません」と完全否定した。

さらに宮川選手が「五輪に出られなくなるわよ」と言われて恐怖を感じたとしていることには、「脅かすための発言はしていません」とこちらも否定。「このような成績や現状のままだと五輪に出られなくなる」という内容を伝えたと主張した。

このほか、「オリンピックの選考は私の独断で行われるわけではない」「(暴力や暴言を見たと)私が決して無理やり言わせたものではありません」と宮川選手の証言や主張に反論した。

自分を「高圧的な態度」と言われた点については「思わせてしまったのであれば、大変申し訳なく思う」としながらも「第三者委員会に提出予定である、私たちが保有している宮川選手との録音内容をお聴きいただければ、決して高圧的な態度ではないということはおわかりいただけると思っております」と記している。