東京オリンピックで実施される複合で、日本勢は男女ともメダルを逃した。金メダル候補だった楢崎智亜(22=TEAM au)はスピードでフライングした影響が響き、ボルダリングでも挽回できずに5位に終わった。男子は原田海(19=神奈川大)が4位、藤井快(25)が6位。女子の野口啓代(29)は4位、野中生萌(21=いずれもTEAM au)が5位だった。

鬼門のスピードに泣いた。1対1の勝ち上がりで争われるスピードの第1戦。楢崎智がスタートを切った瞬間に、フライングを告げるブザーが鳴った。決勝6人中、1位を目指せる6秒697の自己ベストを持ちながら、フライングのため最下位発進。得意のボルダリングで3位、リードでも4位と巻き返せなかった。3種目の順位をかけ算したポイントの少ない選手が上位となる。

5位に終わると、険しい表情で「フライングはスピードで一番やっちゃいけない」と戒めた。一般的には号砲を聞いてからスタートを切るが「僕は(普段は)タイミングで出る。今回それはまずいなと思って、音を聞いて出ようと聞いたはずなんですけど、みんなに幻聴だと言われました」。日本が得意なボルダリングは、課題の得意不得意で順位変動がある。「スピード、リードの強さが安定している。リードは実力が順位に出やすい。この2つが強い方がもしかしたら」とも冷静に話した。

日本代表の安井博志監督(43)は、フライングについて「スタートの『ピッ』っていう、『ピ』の音が始まるところに合わせすぎた。陸上の100メートルのスタートと全く同じなので、陸上のコーチからのアドバイスを受けることも考えている」と改善点を挙げていた。【戸田月菜】