トロロッソ・ホンダの2台は無念のノーポイントに終わった。決勝日は8万1000人、3日間でのべ16万5000人が来場し、石井啓一国土交通大臣やホンダの八郷隆弘社長らも訪れたホンダの地元で、ファンの大声援に応えたかったというドライバー2人はガックリと肩を落とした。

レース序盤は7位を走行したものの27周目のピットストップで順位を落とし、最後はタイヤにブリスター(熱膨れ)が激しく発生して11位に落ちたピエール・ガスリーはこう語った。

「前半のペースは良かったしレースが27周だけならとても良いレースだったんだけどね。でも残念ながらレースは53周だ。もっと早くピットインすべきだった。多くの応援をもらって、みんなのためにここで良い結果を出したかったんだ。もっと良い仕事ができていればもっと良い結果が出せたはずだ。だから全てをうまくまとめ上げることができなかった今はすごくガッカリしているよ」

自己最高6番グリッドスタートのブレンドン・ハートリーは、スタートでホイールスピンが酷く後退。その際にリアタイヤがオーバーヒートしたことでペースが振るわず、タイヤ交換後はガスリーと同じようにブリスターでペースが上がらず13位に終わった。

「普段はタイヤにすごく優しいクルマなのに、今回は逆だった。第1スティントでは僕のリア、第2スティントでは2台ともブリスター。そのせいでとれたはずのポイントを失ってしまった。なぜこんなことが起きてしまったのか、分析して正確に理解することが重要になるね。予選がとても良かっただけにレースがこんなかたちになってしまって本当に残念だよ」

ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、ピット戦略のミスを示唆しながらも、大接戦の中団グループの中でチーム全体としての力が及ばなかったと振り返った。

「結果論ではありますが、他にやりようがあったなとも思います。それも含めてチームの総合力ですね。タイヤのデグラデーションの読みや他チームが新品に換えたときのタイムの上がり方の読みだとか、自分たちの第2スティントのタイヤの使い方だとかですね。特にガスリー車の方ですがフリー走行で大幅に走行時間を失って、レース前にそろえておくべきさまざまなデータが100%全てそろえきれなかったという状況が影響して、結果的に悪い方向に行ってしまったのがひとつの原因だったと思います。それからレースでの他車との競争力に予選結果のポジションを維持する力がまだまだなかったということですね」

しかし予選6位・7位の結果が示す通り、トロロッソ側が日本GPに持ち込んだ新たなサスペンションセッティングや、今回が初の予選・決勝投入となったホンダのスペック3パワーユニットはともに好結果を叩き出し、今後に向けて光明も見えた。世界最大級の難所と言える鈴鹿での好走と失敗をしっかりと振り返り、分析して今後の成長に結びつけることが重要になる。(米家峰起通信員)