昨年準優勝の日体大が、決勝で昨年の覇者日大に3-0で快勝して初優勝した。

53キロ、59キロ、59キロ超級の3階級による団体戦で、53キロ級で先勝した日体大は、続く59キロ級の田南部夢叶(19)が、昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜で準優勝している強敵の熊野ゆづる(19)にテクニカルフォール勝ちして優勝を決めた。この日、2試合をいずれもテクニカルフォールで勝った田南部は日刊スポーツ賞に選出された。

田南部は「急成長」を試合内容で自ら示した。今年6月の全日本選抜でテクニカルフォール負けした熊野に、“倍返し”のリベンジを果たした。第1ピリオドで4-0とペースを奪うと、第2ピリオドにタックルからのアンクルホールドで一気に試合を決めた。「相手のビデオを見て研究していました。毎日、厳しい練習を積んできたので」。圧勝は勢いではなく、地道な努力の成果だった。

9月のポーランドオープンでの経験も自信になったという。準決勝で敗れたものの、今年の世界選手権を制した中国選手を4-6と追い詰めた。コーチを務める04年アテネ五輪男子フリー55キロ級銅メダリストの父力氏も「勝っていてもおかしくない内容だった」。「世界のいろんな選手と対戦してきた経験が大きい」と田南部も振り返る。

このクラスは世界選手権を制した川井梨紗子や、復帰したオリンピック(五輪)4連覇の伊調馨ら、強豪がひしめき、20年東京大会への道は険しい。「練習では伊調さんにボコボコにされます」と田南部本人もレベルの高さ、層の厚さを身をもって知っている。一方で「簡単な戦いではないですが、それだけに日本のチャンピオンになれば、海外でも通用する」とも感じている。

「最近はよく練習をするようになりました。勝負強くなりました」と力氏も娘の成長を実感している。夢叶(ゆめか)という名前は「夢が叶うように」と名付けたという。急成長の19歳はまさに今、夢につながる階段を駆け上がっているようだ。【首藤正徳】