日刊スポーツの新企画「これ、要ります?」の第10回は、12年ロンドン五輪近代5種女子代表の黒須成美さん(27)が使用した射撃グリップだ。昨年12月に現役引退していたことを明かし、会社の机中にあった“珍品”をもらった。

■読者1人にプレゼント

黒須さんから木製の品を渡され、記者の「これ、何ですか?」から会話が始まった。

失礼だが、積み木でもない…。説明を聞くと、練習や国際大会などで約2年間使用した射撃グリップだった。現在の銃はレーザーだが、実弾を使っていた時のもので、18歳のお年玉で購入したという。

右手サイズの「XS」と書かれ、握りやすいように表面が削られていた。ロンドン五輪の代表権を獲得した11年アジア選手権(中国)のパンダシールも貼られていた。

使い古された思い出の品だと思って「これはもらえません!!」と断ると、「昨年12月に現役引退したんです。20年東京五輪を目指す上で、自分の成績と後輩たちの活躍を見て、ここで競技人生をリセットすることが大事だと思いました。これは近代5種をこよなく愛してくれる人にもらってもらいたいです」と打ち明けられ、“珍品”を渡された時以上に動揺した。

日本女子で初めて出場したロンドン五輪が、最初で最後の大舞台となった。東京五輪を競技人生の集大成としていたが、挑戦は終わった。1月から所属先の東海東京フィナンシャル・HDの会社員として多忙な日々を送る。「競技とは違う疲れがあります」と苦笑いしたが、表情は晴れやかだった。右手も銃からPCのマウスに変わり、第2の人生がスタートしていた。【峯岸佑樹】

◆応募方法 プレゼント希望者は、はがきに住所、氏名、このページの感想を明記の上、〒104・8055(住所不要)日刊スポーツ新聞社スポーツ部「これ要ります?(10)」係までご応募ください。2月19日到着分まで有効です。