発足初年度のレギュラーシーズン最終戦が行われ、男子の首位東京が3位彩たまを4-0で下し、3月17日に東京・両国国技館で行われるプレーオフに弾みをつけた。2勝を挙げた水谷隼(29)は、Tリーグでは初めてサングラスを着用。コート両サイドに選手目線の高さで設置されているLEDビジョンの影響でボールが見えなくなるのを防止した。昨今、ショーアップされる卓球競技。来年の東京五輪でも課題となる。

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慣れないサングラスを着用した水谷だが、本来の実力を発揮した。初戦のダブルスは2-1。第3試合のシングルスは1ゲームも落とさず快勝した。

前日午後9時27分に終わった試合後、スポーツゴーグルメーカー「スワンズ」の製品を何個も試しながら、同10時30分を過ぎても卓球台でボールを打ち返し、入念にチェックした。

理由は昨今のショーアップに伴う強い光。最近の大きな大会では国内外問わずLEDビジョンが設置される。スポンサーのロゴを表示することで広告効果を上げたり、試合を盛り上げる演出映像を流すためだ。照明も課題。アリーナ全体は暗くする一方、コートだけをスポットライトのように明るくする。

水谷は「白いボールの後にLEDの白い字があると一瞬、ボールが消える。目の焦点もLEDの方に合ってしまう」と、昨年1月の全日本選手権ごろから問題視してきた。LEDの広告バナーがなかった五輪においても「ライトアップによる卓球台からの反射がすごい。選手にとって難しい試合環境」と話した。

20年東京五輪組織委員会はスポーツプレゼンテーションと称し、素人でも楽しめる競技演出計画を検討中で、照明効果やLEDはつきものとなる。水谷は日本協会に東京五輪での対策を要望したが、満足な回答は得られなかった。

「トップ選手から直接、組織委へ声を上げることはないか」と問われ「僕が言っても、どうにもならないのでは」とお手上げ状態。この日は「サングラスで対応できた」と言うが、演出のために選手が新たに対策を講じるのはどうなのか。あらためて各競技、選手の生の声を聞く必要がありそうだ。【三須一紀】

○…Tリーグは、選手やチームからLEDビジョンについての正式な改善要望は、これまで来ていないと明かした。全日本選手権や国際大会でも設置は通例であるとし、来季へ向けた設置場所変更等の検討は挙がっていないという。選手に向かって正面に設置している理由は、テレビ中継などへの映りやすさ。側面では広告効果が下がるからだという。ボールの見づらさに配慮し、プレー中に流す文字映像は白ではなく、薄いグレーにする工夫も行っている。