日本体操協会は8日に都内で理事会を開き、世界選手権(10月、ドイツ)の代表選考で、村上茉愛(22=日体ク)に「救済措置」を設けないことを決めた。

先月のNHK杯を腰のけがで欠場し、4月の全日本選手権とNHK杯の結果で選ばれる基準の対象外となっていた。日本は東京五輪の団体総合出場枠を獲得しておらず、世界選手権9位(18年大会で獲得の3カ国をのぞく)以上が必要だったため、田中光女子強化本部長が「特例」の可能性を示唆していた。

この日の報告では、同女子強化本部長から6月22日開幕の全日本種目別選手権(群馬・高崎)の村上の結果を見て、特別ルールで代表選考にかけたいという希望が伝えられ、議論が紛糾。最終的に議決を取った結果、反対が8人となり、出席15人の過半数を占めたため否決となった。

発表済みの基準は代表5人のうち、<1>全日本とNHK杯の合計得点の上位4人をまず選び、<2>種目別スペシャリストとして1人を選出することに決まっていた。村上はNHK杯の欠場で<1>がなくなり、<2>では「NHK杯12位以内に入っていること(ナショナル強化選手)」が条件としてあったため、一度は可能性が消えたと判断されていた。

NHK杯後の女子強化本部会では、<2>の解釈を巡り、議論がなされた。「(ナショナル強化選手)」がNHK杯12位以上でなくても該当するならば、村上を強化本部推薦で選出することで代表に選ぶことができる。この点を巡り、選考基準を策定したメンバーの説明は「12位以上とナショナル強化選手はイコール」でNHK杯の成績は必須だったことが確認され、最終的に解釈を拡大することに反対意見が出た。その結果、女子強化本部会では結論がまとまらずに、理事会の決定を仰ぐ形となった。

エースを欠き世界選手権に向かうことになった同女子強化本部長は「ルール通りにいくことになった。数字的には十分に戦える。きっちり仕上げていきたい」と表情を引き締めた。