【パリ=吉松忠弘】世界8位のアシュリー・バーティ(23=オーストラリア)が4大大会初優勝を遂げた。ノーシードで勝ち上がってきた同38位のマルケタ・ボンドロウソバ(チェコ)に6-1、6-3の70分のストレートで勝ち、全仏女子シングルスでは73年コート以来、46年ぶりのオーストラリア選手の優勝となった。バーティは10日発表の最新世界ランキングで、自己最高の2位になる予定。

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決勝としてはあまりにもあっけない幕切れだった。マッチポイントで軽々とグラウンドスマッシュをたたきつけたバーティは、高々と両手を挙げた。「信じられない。魔法みたいな2週間だった」。古豪オーストラリアの復活だ。

準決勝は勝ちを意識。好不調が激しく「ローラーコースターのようなテニスだった」と大苦戦を強いられた。決勝は「こんなチャンスはもう来ないかもしれない。奪いに行く」と気持ちを奮い立たせ、「完璧なプレーだった」と胸を張った。

ジュニア時代、すべての年代で国内のタイトルを総なめした。11年にはウィンブルドンのジュニア部門にも優勝し、同年ジュニア世界ランキング2位にまで上り詰めた。しかしプロ転向後、14年全米を最後にホームシックにかかり約2年間、テニスから離れた。

クリケット選手として国内リーグでプレー。それでもテニスの魅力を忘れられず16年2月に復帰した。世界623位から再スタートを切り「それも私の人生。あの休みがなかったら、今はない」。ついに4大大会の頂点にまで上り詰めた。

◆アシュリー・バーティ(オーストラリア)1996年4月24日、オーストラリア・イプスウィッチ生まれ。5歳でテニスを始め、国内の12、14、16、18歳以下の全国タイトルすべてに優勝。13年に全豪、ウィンブルドン、全米のダブルスに準優勝。19年マイアミオープンで4大大会に次ぐタイトルを獲得。ツアー通算5勝。166センチ、62キロ。