【光州=益田一弘】瀬戸大也(25=ANA)が、弾丸スタートを決めた。今大会初レースの200メートルバタフライ予選で自己ベストに0秒53差の1分54秒56。全体の2位で通過。想定タイムを2秒近くも上回った。

銅メダルを獲得した前回大会決勝で記録した自己記録の更新を早くも視野に入れた形。最終日の400メートル個人メドレーで2大会ぶりの金メダル=五輪内定を狙う男子主将が、日本選手団に勢いをつける泳ぎを披露した。

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ぐいぐいと前に出た。瀬戸が水面を進んでいく。左隣は今季世界ランキング1位のミラーク(ハンガリー)。最後の25メートルはトップを競った。「この感じは勝つかなと思ったけど。ミラークも最後にちょっと上げてきた」。メダル争いのライバルと予選から火花ばちばち。いきなり自己記録に近い1分54秒56で弾丸スタートを決めた。「予選は1分56秒台でいいかなと思ったけど。その中でも体を動かして55秒台をイメージしていた。ここまで来るとは」と笑みがこぼれた。

前回大会で同種目銅メダルを獲得。本命種目の400メートル個人メドレー銅とともに世界選手権で初の複数メダルとなった。今大会は、200メートル個人メドレーも加えて「出る種目すべてでメダルをとりたい」と宣言。競泳3日目で出番を迎えて、解き放たれた。

得意のバタフライはチャレンジも行ってきた。これまでストローク2回につき呼吸1回だったが、5月以降は1回につき呼吸1回にトライ。呼吸が長く持つため、強いキックが打てるようになった。この日の予選で2回に1回を使ったのは「キックでしっかり(水の)抵抗が入ったので」。試行錯誤を繰り返すことで、まだまだ進化している。

金メダル候補のミラークとは5月のジャパンオープンでも対戦した。レース後に「すしを食いにいこう」という相手の要望に応じて、ホスト役も務めた。韓国入り後、試合前調整で急激に練習量を落としたために「日ごとに良かったり悪かったりだったが、1発目で泳いで、体のスイッチも入った。これで1分54秒5台。かなりいいですね」とにやり。ポジティブ思考の男子主将がチームを勢いづける。