世界ランキング1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)が連覇を達成した。同7位のヨナタン・クリスティ(インドネシア)に21-16、21-13の2-0で勝利。地元の大声援を受け、20年東京オリンピック(五輪)と同会場で昨年から10連勝とし、本番へ向けて大きな自信を付けた。

試合後、コート上でインタビューを受けた桃田は「自信なかったけど、多くの方に応援してもらって…」と話すと、涙が込み上げ、言葉に詰まり、目頭を押さえた。

「連覇したい」。前週のインドネシアオープンでまさかの2回戦負けを喫し、その思いはより強くなった。だが、思いが強くなればなるほどプレッシャーを感じてしまうため、気にしないように心がけている。「意識するといつも硬くなって、プレーに影響する」と普段から不安を口にしていた。

そんなプレッシャーを和らげる存在がいた。子どもたちの声援だ。毎試合前、選手の集合場所に行く途中で、子どもたちから「桃田頑張れ!」と声をかけられるという。「試合のことを考え熱くなっていた自分を気付かされ、リラックスできている」と日本の「小さな」応援団が後押しとなり、落ち着いたプレーで優勝を手にした。

波はあるが、4月からの五輪代表争いで順調に勝利を重ねている。昨年9月から世界ランキング1位に君臨し続け、現時点で東京五輪の金メダルに1番近いことは間違いない。「先のことはまだ考えられないが、東京五輪で大歓声の中でプレーしたい」という。無敗のまま同会場での試合を終えた。1年後の金メダルへ少しずつ近づいている。

◆桃田賢斗(ももた・けんと)1994年(平6)9月1日、香川県三豊市生まれ。吉津小2年でバドミントンを始める。福島・富岡高3年の世界ジュニア選手権で日本人初優勝。16年4月に発覚した違法賭博問題で同年のリオデジャネイロ五輪に出場できず。18年1月に日本代表復帰し、8月に世界選手権で日本男子初の金メダル。9月に世界ランキング1位に。19年3月の全英OPで日本初の男子シングルス優勝。家族は両親と姉。175センチ、68キロ。左利き。A型。