水泳の日本学生選手権(インカレ、6~8日=東京・辰巳国際)で、男子100メートルバタフライの田中優弥(新潟医療福祉大3年)が初優勝を狙う。

7月のユニバーシアード(イタリア・ナポリ)の50メートルバタフライで日本学生新記録の23秒35をマークし、2位に入ったスピードが持ち味。昨年の同種目覇者・水沼尚輝(22=新潟医療福祉大職員)に続いて優勝を決め、20年東京オリンピック(五輪)名乗りを上げる。

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ブルーのスイミングキャップが水面を鋭く切り裂きながら前へ突き進む。田中の持ち味はバネと切れ。7月のユニバーシアードの50メートルバタフライで、日本記録23秒27に0秒08差に迫る23秒35で泳いだスピードが真骨頂だ。「ベストのレースをして、51秒台のタイムを出すのが1番の目標。優勝という結果はあとからついてくる」。100メートルバタフライの自己ベストはジャパンオープン(5月=東京・辰巳国際)でマークした52秒16(3位)だが、51秒台の泳力はついている。

8月19日から23日まで、新潟医療福祉大は長岡市で合宿を張った。ダイエープロビスフェニックスプールで午前と午後の2部練習。レースと同じ強度で午前は3000メートル~4000メートル、午後も3000~4000メートルを泳いだ。下山好充監督(48)は「水沼(尚樹)の持っている自己ベスト51秒43に近い記録で優勝して欲しい」と田中に期待した。8月23日以降も同プールに通って、最終調整した。

田中の視線の先には、いつも2学年上の先輩がいた。今年の日本選手権を制し、世界選手権に出場した水沼だ。「ずっと上にいる存在。追いついて離され、という繰り返し。明確な目標。いい刺激」と言う。そんな田中を、下山監督は水沼と比較し「水沼が2年で出したベスト記録を田中は1年で超え、3年のベストを2年で抜いた。3年になった今、水沼の4年の記録(インカレ優勝記録51秒98)を抜こうとしている」。

もちろん、課題はある。50メートルのスピードを100メートルまで持続させる持久力。「呼吸で体が立ってしまう」と、水の抵抗を軽減させる泳ぎを意識して取り組んでいる。技術と体力を整え、狙いはインカレ優勝からの20年東京五輪代表入り。「来年の最終選考会で水沼さんとワン、ツーをやりたい。できればワンの方で」と田中は言った。【涌井幹雄】

◆田中優弥(たなか・ゆうや)1998年(平10)8月8日生まれ、群馬県出身。前橋育英高3年のインターハイは100メートルバタフライ7位、ジュニア五輪3位。昨年のインカレは100メートルバタフライ5位。今年の日本選手権は50メートルバタフライで4位に入った。175センチ、68キロ。血液型O。